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生体内の高分子混雑に着目した新規の細胞モデルの創成に成功
名古屋大学大学院理学研究科の瀧口 金吾講師、同志社大学生命医科学部の作田 浩輝特任助教、藤田 ふみか大学院生、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科 生命機能工学領域の濵田 勉准教授、法政大学生命科学部の林 真人教務助手、三重大学大学院工学研究科の湊元 幹太教授、京都大学高等研究院医学物理・医工計測グローバル拠点の吉川 研一特任教授らの共同研究グループは、二種類の水溶性高分子のミクロ相分離条件下でDNAとリン脂質を共存させると、内部にDNAを取込み、リン脂質の膜で囲まれた細胞内小器官様の構造が自発的に生成することを発見しました。この発見が元になり、細胞が自律的に複雑な構造や高度な機能を生み出す機構の謎に迫る研究に発展することが期待されます。
その成果をまとめた論文が、国際科学雑誌ChemBioChem誌のオンライン版に2020年7月15日付けで公開されましたが、この度、Very Important Paper の1つに選ばれ、研究内容を紹介するイラストがChemBioChem誌の2020年21巻23号に掲載されました。
この研究は、平成24年度から始まった文部科学省科学研究費助成事業新学術領域『分子ロボティクス』プロジェクトおよび平成31年度から始まった日本学術振興会科学研究費助成事業『細胞結合ネットワークの構築による人工細胞モデルの組織化と集団動態発現』等の支援のもとでおこなわれたものです。
【ポイント】
- 異なる高分子 注1)の混雑によって高分子同士が相分離 注2)を起こしてミクロ液滴を形成している溶液にリン脂質を加えると、脂質が自発的にミクロ液滴の界面に局在化することで、細胞内小器官(オルガネラ)注3)の形成に似た区画化を起こすことを発見した。
- この新知見を利用することで、リン脂質によって小胞化されたミクロ液滴の内部に、長鎖DNAを濃縮して封入させることに成功した。
- 本研究で見出されたミクロ液滴のリン脂質によって区画化される小胞化は、原始生命体(細胞の起源)のモデル実験系と成り得ると同時に、人工脂質膜小胞を調製するための有力な新手法として期待される。
- この研究成果をまとめた論文が、国際科学雑誌ChemBioChem誌に掲載され、さらに、Very Important Paper (VIP)に選ばれた。【論文を紹介するイラスト(下図)はChemBioChem誌の2020年21巻23号に掲載】
【研究背景と内容】
近年、細胞内の複雑な構造が生み出される起源や、脂質膜によって区画化される多様な細胞内小器官および、顆粒などの膜によって隔てられていない領域 注3)などが形成・維持される機構について、相分離 注2)の視点から研究されています。
本研究では、液-液相分離(LLPS)注2)を示すことができる水溶性の高分子ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)およびデキストラン(DEX)注1)の混合によってミクロ液滴を生成させた溶液にリン脂質を加えると、ミクロ液滴の界面に脂質が自発的に集まって膜を形成することを見出しました(図1)。この脂質に覆われたミクロ液滴が、外液の浸透圧を高張にすると、脂質二重膜でできた膜小胞と同様に破裂や穿孔、収縮をすることから(図2)、ミクロ液滴を覆う脂質が、生体膜の基本構造である脂質二重膜と同じ性質を示すことが分かりました。
図1:ミクロ液滴の界面へのリン脂質の蓄積。
リン脂質添加後のPEG / DEX混合溶液の顕微鏡画像(ミクロ液滴の生成を示す明視野像とリン脂質の局在を示す蛍光像)。蛍光像(白の破線部分)から得られた蛍光強度の空間プロファイル。
図2:高張な水溶液(NaCl溶液)の注入による脂質膜構造の形態変化。
外液の浸透圧が変化することによって、リン脂質に覆われたミクロ液滴の内部から外液に向かって大量の水分子が移動しようとする結果、脂質膜の破裂や穿孔や収縮が起きる。左から、破裂後のリン脂質の凝集塊、穿孔を起こした脂質膜の残骸、収縮した脂質膜。
ところで、核酸であるDNAも生体内で重要な働きをしている天然の高分子です。我々共同研究グループの先行研究から、長鎖DNAがDEXを高濃度で含むミクロ液滴に遍在することが明らかにされていました。長鎖DNAを内部に濃縮して取込んだミクロ液滴を形成している相分離溶液系にリン脂質を加えると、やはり脂質が自発的にミクロ液滴を覆うことで、内部にDNAを含む細胞内小器官様の安定化された小胞の形成が認められました(図3)。
このミクロ液滴からリン脂質膜で安定化された細胞内小器官様の小胞が自発的・自己組織的に創成されてくる過程は、原始の生命体の細胞の内部構造の起源を考える際の貴重な知見であり、多種類の高分子の混合によって細胞内小器官(オルガネラ)や膜によって隔てられていない構造が自発的に形成されてくる可能性を示した研究成果です。
図3:リン脂質の膜で区画化・小胞化されたミクロ液滴へのDNAの自発的なカプセル化。
長鎖DNAを含むPEG / DEX混合溶液にリン脂質を添加すると、自発的にDNAを取込んだ脂質の膜に覆われたミクロ液滴が生成される。
【成果の意義】
本研究の発見は、多種類の高分子の混合によって生体高分子(ここでは長鎖DNA)を取込んだミクロ液滴が自発的に生じ、これに生体膜の重要な構成成分であるリン脂質を加えると、更にミクロ液滴の界面にリン脂質が集積して自己組織的に細胞内小器官様の小胞構造が形成されることを示した研究成果です。
この発見の特筆すべきこととして、本研究で用いられたどの成分、高分子のPEGとDEX、生体高分子の長鎖DNA、そしてリン脂質も、酵素と基質との間に観られる鍵と錠との関係のような相互作用を互いに示さないことが挙げられます。このことは、生命現象の説明や理解に必ず分子間の特異的な相互作用の存在を想定して来たこれまでの生命科学に一石を投じるものであり、非常に重要です。
細胞内では、細胞分裂の際、分離・分配された染色体が脂質の膜で覆われ核膜が再生することで2つの娘細胞の核が形成されます。また、オートファジーでは、変性したり役目を終えたりした生体因子や細胞内に侵入して来た細菌などの外敵の分解除去のため、あるいは細胞内物質のリサイクルのため、それらを取り込む様に脂質膜でできた"袋"を形成します。これらのことから、本研究で得られた知見は、非膜性の顆粒の様な細胞内領域と膜に覆われた細胞内小器官との関係に新たな視点を与えると共に、濃厚環境での生体高分子の在り様、細胞内に観察されるような重層的に区画された領域や細胞内小器官の様な特別な構造の起源の理解に迫る成果だと言えます。
【用語説明】
- 注1) 高分子(ポリマー):
ある化学物質が、様々な結合を介して連なっていくことで、より大きな分子になったもの。一本の鎖状のポリマーもあれば、枝分かれしながら繋がっているポリマーもあります。
今回の研究で用いられたポリエチレングリコール(PEG)やデキストラン(DEX)は、その代表的なものです。
DNAも、ヌクレオチドが連なってできた天然のポリマーです。生体内には、様々な糖鎖やアクチン線維や微小管の様なアクチンやチューブリンと呼ばれる蛋白質が繊維状に集まってできた細胞骨格などが存在していますが、これらも天然のポリマーと考えることができます。 - 注2) 相分離、液-液相分離 (Liquid-Liquid Phase Separation, LLPS):
LLPSは、複数の水溶性高分子を混合し混雑化すると(図4 (a))、ある高分子が他の高分子よりも高濃度で存在する領域が水溶液中に現れる現象です。このように異なる領域に分かれていく現象を相分離と呼びます。そのようにしてできてくる領域ですが、混合の仕方によって生きた細胞や細胞内小器官と同等のサイズを持つミクロ液滴になります。
今回の研究では、PEGが濃く存在する溶液中に、DEXが濃く存在するミクロ液滴が生じる条件下で実験が行われました(図4 (b))。
図4:PEGとDEXの混合(左)によって生じるLLPS(上)。Bars = 100 μm。本共同研究グループの先行研究論文 ChemBioChem 2018, 19(13), 1370-1374 (Figure S1) より転載。
- 注3) 細胞内小器官(オルガネラ):
細胞内に存在する核やミトコンドリア、ゴルジ体などの総称。
これまで細胞内小器官は、膜によって外界から隔てられて、その構造や機能が維持されていると考えられてきました。しかし近年、膜によって外部から隔てられていない領域・顆粒(例として核小体やストレス顆粒など)が、非膜性の細胞内小器官として重要な働きを担っていることが分かってきて、それらの形成維持機構が、細胞内の複雑で階層的な構造の組織化に関連して議論される様になっていました。
【論文情報】
雑誌名 | ChemBioChem 2020, 21 (23), 3323-3328. |
論文タイトル | "Self-Emergent Protocells Generated in an Aqueous Solution with Binary Macromolecules through Liquid-Liquid Phase Separation." |
著者 | Hiroki Sakuta, Fumika Fujita, Tsutomu Hamada, Masahito Hayashi, Kingo Takiguchi, Kanta Tsumoto, Kenichi Yoshikawa. |
論文本文 | DOI: 10.1002/cbic.202000344 |
イラスト (Cover Feature) |
DOI: 10.1002/cbic.202000760 |
【研究費】
・科研費 基盤研究(A)(15H02121)
・科研費 基盤研究(C)(19K06540)
・科研費 基盤研究(B)(20H01877)
・特別研究員奨励費(18J12947)
・文部科学省新学術領域研究
「アメーバ型分子ロボット実現のための要素技術開発とその統合」(24104004)
・文部科学省新学術領域研究
「ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立」(25103012)
・文部科学省新学術領域研究
「宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解」(18H04976)
令和2年12月9日
出典:JAIST プレスリリース https://txj.mg-nb.com/whatsnew/press/2020/12/09-1.html学生の中村さんが令和2年度応用物理学会 北陸・信越支部学術講演会において発表奨励賞を受賞

学生の中村 航大さん(博士前期課程1年、環境・エネルギー領域、大平研究室)が令和2年度応用物理学会 北陸・信越支部学術講演会において発表奨励賞を受賞しました。
応用物理学会は、半導体、光・量子エレクトロニクス、新素材など、工学と物理学の接点にある最先端課題、学際的なテーマに次々と取り組みながら活発な学術活動を続けています。
北陸・信越支部発表奨励賞は、応用物理学会北陸・信越支部が開催する学術講演会において、応用物理学の発展に貢献しうる優秀な一般講演論文を発表した若手支部会員に対し、その功績を称えることを目的として授与されるものです。
今回、令和2年度応用物理学会北陸・信越支部学術講演会は、11月28日にオンラインで開催されました。
■受賞年月日
令和2年11月28日
■発表題目
封止材無しn型フロントエミッタ型結晶Si太陽電池モジュールの電圧誘起劣化
■講演の概要
近年、太陽光発電システムの導入が急増しているが、そのほとんどは、モジュールに封止材を有している。封止材を有した結晶シリコン(c-Si)太陽電池モジュールは、いくつか問題点があり、その一つである電圧誘起劣化(PID)は、太陽電池モジュールのアルミフレームとセル間の電位差に起因して性能が低下する現象である。PIDは、Na+侵入や電荷蓄積が封止材を経由して起きるため、封止材を無くせばこの問題は解決できると考えられる。本研究では、今後の普及が期待される、n型c-Siを基板に用い、光入射側にp型エミッタ層があるn型フロントエミッタ型c-Si太陽電池モジュールを作製し、封止材の有無がPIDにおよぼす影響を調査した。封止材の無いモジュールでは、SiNx膜からの電子移動やNa+の侵入の経路が存在しないため、性能低下が抑制できた。また、わずかに電荷蓄積型のPIDが見られたのは、リーク電流の経路を介してSiNx膜から電子が流出することにより正電荷が蓄積し、表面再結合が増大したためと考えられる。
■受賞にあたって一言
この度、応用物理学会北陸・信越支部学術講演会におきまして、発表奨励賞を頂けたことを大変光栄に思います。ご指導いただいた、大平圭介教授、Huynh Thi Cam Tu特任助教ならびに研究室のメンバーには厚く御礼申し上げます。本受賞を励みに、今後もより一層精進して参りたいと思います。
令和2年12月7日
出典:JAIST 受賞https://txj.mg-nb.com/whatsnew/award/2020/12/7-2.html学生のLEさんがA-COE 2020においてBest Poster Presentation Awardsを受賞
学生のLE, Cong Duyさん(博士後期課程3年、応用物理学領域、村田研究室)が12th Asian Conference on Organic Electronics (A-COE 2020)においてBest Poster Presentation Awardsを受賞しました。
Asian Conference on Organic Electronics(A-COE)は、OLEDs、OPVs、DSCs、 ペロブスカイトエレクトロニクス、OFETs、OLETs、有機メモリ、センサ、新しい有機エレクトロニクス等に関する最先端研究の分野において、主にアジアとアジア太平洋地域の研究者に討論の場を提供しています。
今回、A-COE 2020は、11月8日から10日にかけて、オンライン併用で開催されました。
■受賞年月日
令和2年11月10日
■研究題目、論文タイトル等
Extended Lifetime of Fluorescent Organic Light Emitting Diodes by Combining Ultra-Clean Fabrication Conditions and Annealing after Device Fabrication
■研究者、著者
Duy Cong Le and Hideyuki Murata
■受賞対象となった研究の内容
We have previously demonstrated that stability of organic light emitting diodes (OLEDs) is governed by the amount of residual water in an evaporation chamber. To further remove the residual water, two non-evaporable getter pumps (NEGP) were added to the evaporation chamber pumped with tandem turbo molecular pumps (TMP). The lifetime at which luminance reaches to 90% of the initial luminance (LT90=136 h) of devices fabricated with NEGP (OLED-NEGP) showed significant improvement (more than 5 times) than that (25 h) without NEGP (OLED-TMP). We further improve the device LT90 by annealing the device after fabrication. The LT90 (236 h) of the annealed OLED-NEGP showed 9.4 times longer lifetime than that of OLED-TMP. From detailed analysis of photoluminescence lifetime and morphological measurement, the improvement in the stability of annealed OLED-NEG is ascribed to the increase in the density of the hole transport layer.
■受賞にあたって一言
I am honored to receive the award for the best poster presentation of 12th A-COE conference. I acknowledge my supervisor, Prof. Hideyuki Murata for his guidance. I acknowledge members in Murata laboratory for their assistance. I also acknowledge my wife, Linh for consistently inspiring me during my graduate study. Finally, I am indebted to my parents for their reliable supports.
令和2年12月4日
出典:JAIST 受賞https://txj.mg-nb.com/whatsnew/award/2020/12/4-1.html学生の廣瀬さんが令和2年度北陸地区高分子若手研究会においてポスター発表優秀賞を受賞

学生の廣瀬 智香さん(博士前期課程2年、物質化学領域、松村研究室)が令和2年度北陸地区高分子若手研究会においてポスター発表優秀賞を受賞しました。
高分子学会北陸支部では、高分子科学を基軸として研究を展開する若手の交流と、更なる研究の活性化を目的として、毎年若手研究会を開催しています。高分子科学と他の研究分野を融合することによる新規材料の研究・開発に従事し、活躍している研究者の講演および、学生を中心としたポスター発表や交流会が行われます。
ポスター発表優秀賞は、北陸地区若手研究会のポスター発表・動画において優秀な研究発表を行った学生に授与されます。
■受賞年月日
令和2年11月6日
■論文タイトル
温度応答性高分子と液体金属による複合体を用いた光機能性インジェクタブル DDS
■論文概要
液体金属と温度応答性高分子との複合化により、光刺激によって薬物を放出可能な新たなDDS材料を提案した。本研究は物質化学領域都准教授との共同研究です。
■受賞にあたって一言
この度は、令和2年度 高分子学会北陸研究発表会の若手会におきまして、このような賞を頂けたことを大変光栄に思います。本研究の遂行にあたり、日頃よりご指導いただいている松村和明教授、Rajan Robin助教、都英次郎准教授にこの場を借りて心より御礼を申し上げます。さらに、多くのご助言をいただきました研究室のメンバーに深く感謝いたします。
令和2年12月3日
出典:JAIST 受賞https://txj.mg-nb.com/whatsnew/award/2020/12/3-1.htmlNEDO「官民による若手研究者発掘支援事業」に2件の研究開発テーマが採択
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業」に本学から以下の2件の研究開発テーマが採択されました。
「官民による若手研究者発掘支援事業」は、実用化に向けた目的指向型の創造的な基礎又は応用研究を行う大学等に所属する若手研究者を発掘し、若手研究者と企業との共同研究等の形成を促進するプロジェクトです。次世代のイノベーションを担う人材を育成するとともに、我が国における新産業の創出に貢献することを目的として実施します。
本事業のうち「共同研究フェーズ」は、研究者が企業と共同研究等の実施に係る合意書を締結し、企業から大学等に対して共同研究等費用が支払われることを条件として、実用化に向けた研究を助成するもので、事業期間は最大5年です。
また、「マッチングサポートフェーズ」は、企業との共同研究等の実施を希望する研究者が実施する、産業界が期待する研究を助成するもので、事業期間は最大2年です。
*詳しくは、NEDOホームページをご覧ください。
「官民による若手研究者発掘支援事業 共同研究フェーズ」
- 研究開発テーマ名:イオン注入を用いた裏面電極型Siヘテロ接合太陽電池の製造技術開発
「官民による若手研究者発掘支援事業 マッチングサポートフェーズ」
- 研究開発テーマ名:全自動花粉交配マシンの創出
令和2年12月2日
出典:JAIST お知らせ https://txj.mg-nb.com/whatsnew/info/2020/12/02-1.html学生のGUPTAさんがJAIST World Conference 2020においてBest Presentation Awardを受賞
学生のGUPTA, Agmanさん(博士後期課程3年、物質化学領域、松見研究室)がJAIST World Conference 2020においてBest Presentation Awardを受賞しました。
JAIST World Conference 2020は、本学のエクセレントコア「サスティナブルマテリアル国際研究拠点」による国際シンポジウムです。シンポジウムでは、国内外からの招待講演者や本学教員による持続可能な低炭素社会の実現に向けたポリマー材料等に関する最先端の研究発表等が行われました。
■受賞年月日
令和2年11月10日
■発表題目
Lithium Ion Secondary Batteries with Silicon Based Anode Highly Stabilized with Self-healing Polymer Binder Matrices
シリコン系負極を自己修復型高分子マインダーマトリクスで高度に安定化したリチウムイオン二次電池
■発表者
Agman Gupta、Rajashekar Badam、Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
今日、リチウムイオン二次電池開発においては理論容量が極めて高いシリコン負極の活用が期待されている。一方、充放電過程におけるシリコンの大きな膨張・収縮により安定的な充放電挙動の発現が課題となっている。本研究ではn型共役系高分子をポリ(アクリル酸)と組み合わせた水素結合性ネットワークを有する自己修復型バインダーマトリクスを用いることにより約2000 mAhg-1(Si)以上の放電容量を300サイクル以上にわたって維持できる系を見出すに至った。
■受賞にあたって一言
I would like to express my gratitude towards my research supervisor Prof. Noriyoshi Matsumi who has always supported, encouraged, and guided me ably throughout my studies. Also, I would like to thank Dr. Rajashekar Badam for motivating me to do good work. I am thankful to MEXT and JST-Mirai (Grant number: JP18077239) for providing financial support. I am thankful to all JAIST staff (teaching and non-teaching) for providing a wonderful research environment with world-class facilities to conduct good research work. I am motivated to work on the development of next-generation energy storage devices with higher energy density and affordable prices. Research is my passion as it provides me an opportunity to be of service to society and contribute to making life more comfortable.
令和2年11月20日
出典:JAIST 受賞https://txj.mg-nb.com/whatsnew/award/2020/11/20-1.html科学技術振興機構(JST)「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)」に3件が採択
科学技術振興機構(JST)の「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(育成型)」及び「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)トライアウト」に本学から以下の3件の研究課題が採択されました。
A-STEPは、大学・公的研究機関等で生まれた科学技術に関する研究成果を国民経済上重要な技術として実用化することで、研究成果の社会還元を目指す技術移転支援プログラムで、大学等が創出する社会実装志向の多様な技術シーズの掘り起こしや、先端的基礎研究成果を持つ研究者の企業探索段階からの支援を、適切なハンズオン支援の下で研究開発を推進することで、中核技術の構築や実用化開発等の推進を通じた企業への技術移転を行います。
また、大学等の研究成果の技術移転に伴う技術リスクを顕在化し、それを解消することで企業による製品化に向けた開発が可能となる段階まで支援することを目的とし、研究開発の状況に応じて、リスクの解消に適した複数のメニューを設けています。
*詳しくは、JSTホームページをご覧ください。
「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(育成型)」
- 研究課題名:高感度FETと等温増幅法によるウイルス・病原菌センサー開発
- 研究課題名:分離回収可能なタンパク質凝集抑制ナノ構造体
- 研究概要:機能性タンパク質の凝集抑制高分子ナノ構造体を創生し、バイオ医薬品の製造効率の向上を目指すとともに、長期保存、安定化剤としての応用展開を目指す。バイオ医薬品は、製造工程において凝集などによる効率低下や長期保存性が問題となっている。我々は双性イオン高分子がタンパク凝集抑制などの安定化作用を示すことを報告してきている。本申請ではこの化合物の分子設計の最適化を行い、磁性ナノ粒子やナノゲルの様なナノ構造体とする事で、分離回収可能な保護デバイスを創出する。この高分子は、凝集してしまったタンパク質をリフォールディングする事も可能であり、応用面のみならず学術面からの重要性も高い。
- 採択にあたって一言:世界の医薬品の主流が低分子医薬品からバイオ医薬品へシフトしている中で、抗体医薬などの安定性の問題を解決するための凝集抑制高分子の開発を行っています。今回採択された研究課題では、添加した状態でタンパク質医薬品を安定化させ、必要な時には完全に分離回収できる安全かつ高性能な凝集抑制構造体を開発します。この成果により、これまで不安定で産業化できなかった効果の高いバイオ医薬品の開発やその長期保存技術に貢献したいと考えています。
「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)トライアウト」
- 研究課題名:襲雷予測システムのためのグラフェン超高感度電界センサの開発
- 研究概要:雷の事故による世界の死者は年間2万4千人にのぼり、我が国の電気設備における雷被害額は年間2千億円にのぼっている。雷雲の接近により、地表では電界が発生し、変化する。従って、正と負の電界センシングが雷の予測に極めて重要である。既存の超小型電界センサは、極性判定ができないため、これまで、雷に伴う事故について、落雷後の分析はあるが、落雷前の検知は出来ていなかった。グラフェン電界センサは負の電界を検出することができ、超高感度化と正・負が実現できれば、襲雷を予測することができる。
- 採択にあたって一言:襲雷を予測するためには、ピンポイント性、リアルタイム性が要求されます。今回、グラフェン電界センサの超高感度化の研究を進め、音羽電機工業株式会社と共同で、学校、消防、自治体などに襲雷予測システムを設置し、地域社会の持続的な発展に貢献していきたいと思います。
令和2年11月20日
出典:JAIST お知らせ https://txj.mg-nb.com/whatsnew/info/2020/11/20-1.html創立30周年記念 JAIST World Conference 2020を開催
11月9日(月)・10日(火)の2日間、本学創立30周年を記念して、JAIST World Conference 2020として「International Symposium for Innovative Sustainable Materials」及び「The 7th International Symposium for Green-Innovation Polymers (GRIP2020)」が合同で開催されました。
両シンポジウムは、本学のエクセレントコア「サスティナブルマテリアル国際研究拠点」による国際シンポジウムで、国内外からの招待講演者や本学教員による持続可能な低炭素社会の実現に向けたポリマー材料等に関する最先端の研究発表のほか、本学学生及び、金沢大学と本学との連携事業であるGSC(Global Science Campus)の下で指導を受けた県内の高校生によるポスターセッションが行われました。
本シンポジウムには、2日間でオンラインを含め76人が参加し、活発な議論の場となりました。
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シンポジウムの様子 |
令和2年11月16日
出典:JAIST お知らせ https://txj.mg-nb.com/whatsnew/info/2020/11/16-1.html学生の瀧本さんがマテリアルライフ学会第24回春季研究発表会において研究奨励賞を受賞
学生の瀧本 健さん(博士後期課程1年(発表時は本学博士前期課程2年)、物質化学領域・谷池研究室)がマテリアルライフ学会第24回春季研究発表会において研究奨励賞を受賞しました。
マテリアルライフ学会は、有機、無機、金属からなる素材およびそれらを加工して得られる各種材料と構成物・製品並びにバイオマテリアル、古文化財などの耐久性、寿命予測と制御についての科学および技術の進歩をはかり、学術、文化と産業の発展に資することを目的とした学会です。
研究奨励賞は、その中でも耐久性、寿命予測と制御についての科学および技術の進歩に資することを目的に、優れた発表を行った発表者に授与されるものです。
■受賞年月日
令和2年2月21日
■研究タイトル
マイクロプレート法と遺伝的アルゴリズムを用いたポリスチレンの光安定化
■発表者名
瀧本 健
■研究概要
高分子材料の長寿命化において、配合した安定化剤を材料に添加する手段が有効ですが、配合の最適化は光劣化試験のスループットと配合の組合せ爆発によって困難とされてきました。そこで本研究では、新規プロトコル(マイクロプレート法)を考案することで莫大なサンプル量の実験を並列・自動化し、遺伝的アルゴリズムと併用して配合探索を行うことでスループットの大幅な改善に成功しました。また、安定化剤の組み合わせ効果を解析することで相乗効果が高い組合せを含むことが配合性能において最も重要であることを明らかにしました。
■受賞にあたって一言
このような名誉ある賞をいただくことができ、大変嬉しく思います。本研究において熱心なご指導をいただきました谷池教授をはじめ、多くのご助言をいただきました研究室の皆様にこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。
令和2年10月28日
出典:JAIST 受賞https://txj.mg-nb.com/whatsnew/award/2020/10/28-1.html研究員のSINGHさんが第69回高分子討論会において優秀ポスター賞を受賞

研究員のSINGH, Apekshaさん(物質化学領域・松見研究室)が第69回高分子討論会において優秀ポスター賞を受賞しました。(ポスター発表時は本学博士前期課程2年、令和2年9月博士前期課程修了。)
高分子討論会は、高分子科学に携わる研究者・技術者が研究成果の発表を行い、発表内容に関し、参加者と充実した討論およびコミュニケーションができる場を提供することを方針とし、開催されます。今回はWEBEXを用いてオンラインで開催されました。
■受賞年月日
令和2年9月18日
■発表題目
全固体ナトリウムイオン二次電池用難燃性電解質の設計と高速充放電特性
(Design of Non-flammable Electrolyte for All-solid-state Sodium-ion Batteries and Its High-rate Performance)
■研究者、著者
Apeksha Singh,Rajashekar Badam,Noriyoshi Matsumi
■受賞対象となった研究の内容
今日、電気自動車用途をはじめとする次世代電池の創出に向けて、リチウム資源の近い将来の枯渇が予想されるなか、元素戦略的な観点からナトリウムイオン二次電池の開発の重要性が認識されている。リチウムイオン二次電池同様、その開発においては高い放電容量のみならず、高速充放電能の実現に関心が高まっている。本研究においては有機ホウ素系電解質を用いた全固体ナトリウムイオン二次電池を構築し、その特性を評価した。有機ホウ素系電解質に由来する好ましい界面被膜の特性により、高速充放電能と高い充放電サイクル耐久性が観測され、当該分野の発展にとって興味深い知見となった。
■受賞にあたって一言
Firstly, I would like to thank my supervisor Prof. Noriyoshi Matsumi, who has given me valuable suggestions, and heartfelt encouragement throughout my research project. I would like to acknowledge the important role of Dr. Rajashekar Badam, who apart from his constant motivation, has provided me with the working knowledge and practical experience of electrochemical energy storage systems. I'm thankful to MEXT and Elements Strategy Initiative for Catalysts & Batteries (ESICB) for financial support. About my research, I believe, to attain a balance between sustainable energy generation and energy consumption, efficient fast-charging batteries are imperative. We now live in a world where energy storage has become equally important due to the intermittent nature of sustainable energy sources, and thou shall continue to work on this meaningful research.
令和2年10月20日
出典:JAIST 受賞https://txj.mg-nb.com/whatsnew/award/2020/10/20-1.html史上最高耐熱のプラスチックを植物原料から開発
東京大学大学院農学生命科学研究科大西康夫教授、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科金子達雄教授、神戸大学大学院工学研究科荻野千秋教授、筑波大学生命環境系高谷直樹教授らの研究チームは、史上最高耐熱のプラスチックを植物原料から開発し、10月12日に、東京大学においてオンラインによる記者会見を行いました。
記者会見には本学環境・エネルギー領域の金子 達雄教授が出席しました。
また、本成果は、「Advanced Sustainable Systems」オンライン版にて10月14日に掲載されました。
<記者会見出席者>
本学発表者:金子 達雄(北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 環境・エネルギー領域 教授)
研究チーム代表者:大西 康夫(東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命工学専攻
東京大学微生物科学イノベーション連携研究機構 教授)
<ポイント>
- 紙パルプを原料にして超高耐熱性プラスチックであるポリベンズイミダゾールを生産する新規プロセスを開発しました。
- 新しいポリマーデザインにより、プラスチック史上、最高の耐熱性を達成しました。
- 開発した超高耐熱性バイオプラスチックは、強度や軽量性にも優れており、さまざまな用途で利用が見込めるため、脱石油化・低炭素化社会の構築に貢献できると期待されます。
<研究の概要>
循環型社会の構築にはバイオマス由来のプラスチックの利用が望まれますが、従来のバイオマス由来プラスチックは耐熱性が低いため、その用途が限られていました。この度、本学環境・エネルギー領域の金子達雄教授が所属する研究チーム(代表:大西康夫教授(東京大学大学院農学生命科学研究科))は、超高耐熱性プラスチックをバイオマスから作ることに成功しました(図1)。当該チームは高耐熱性のポリベンズイミダゾール(PBI)(注1)に着目し、その原料となる芳香族化合物を効率よく生産する遺伝子組換え微生物を創成しました。また、代表的な非可食バイオマスである紙パルプを効率的に酵素糖化し、高濃度のグルコースを含む糖化液を生産するシステムを開発しました。一方、化成品を用いた検討により、PBIフィルムの作製法を開発するとともに、PBI原料とアラミド繊維(注2)原料を共重合することで耐熱性が大きく向上することを見出し、史上最高耐熱のプラスチックフィルムの作製に成功しました。また、紙パルプ糖化液を使って発酵生産した芳香族化合物から同等の性質を有するPBIフィルムを作製できることを示しました(10%重量減少温度743℃、表1)。開発した超高耐熱性バイオPBIは、強度や軽量性にも優れており、さまざまな用途で利用が見込めるため、脱石油化・低炭素化社会への貢献が期待されます。
<研究の内容>
近年、国連が採択したSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)がますます注目を集めています。脱石油化、低炭素化のためには、バイオマス由来のプラスチックの普及が重要ですが、これまでに開発されてきたバイオマス由来のプラスチック(ポリアミド11、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリ乳酸など)はいずれも脂肪族ポリマーであり、耐熱性が低いため、その用途が限られていました。芳香族系ポリマーは耐熱性が高いことで知られていますが、その原料はすべて石油由来の芳香族化合物です。天然に存在する芳香族ポリマーであるリグニン(注3)の利用も検討されていますが、リグニンは複雑な分子構造をしているため、リグニンを使って耐熱性の高いプラスチックを作るには、多くの困難があります。そのため、芳香族系ポリマーの原料となる芳香族化合物を再生可能資源から入手するというアプローチが重要であり、これには微生物を用いた発酵生産が有力です。しかしながら、実際に発酵生産させた芳香族化合物を用いて芳香族ポリマーを合成したのは、今回の研究チームのメンバーが以前に行った数例が知られているだけです(文献1、2)。また、これらの研究では、試薬として購入したグルコースを炭素源として微生物を増殖させていましたが、微生物による有用物質生産では、食料と競合する材料ではなく、非可食バイオマス(稲わら、とうもろこしの芯、サトウキビの絞りかす、紙パルプなど)の利用が求められています。
このような背景のもと、研究チームは、科学技術振興機構 (JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST)「二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出」において、「高性能イミダゾール系バイオプラスチックの一貫生産プロセスの開発(平成25年度から平成30年度)」に取り組み、超高耐熱性プラスチックをバイオマスから作ることに成功しました(図1)。
当該研究チームでは、代表的な非可食バイオマスである紙パルプを効率的に酵素糖化し高濃度のグルコースを含む糖化液(最高で90 g/L)を生産するシステムを開発しました(神戸大)。また、高耐熱性のポリベンズイミダゾール(PBI)に着目し、その原料となる芳香族化合物(3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸:AHBA)を生産する遺伝子組換えコリネ菌を用いて、紙パルプ糖化液からAHBAを発酵生産し(3.3 g/L)、高純度に精製しました(神戸大、東大)。一方、共重合用の化合物として着目した4-アミノ安息香酸(ABA:アラミド繊維原料)を生産する遺伝子組換え大腸菌を構築し、同じく紙パルプ糖化液からABAを発酵生産し(1.6 g/L)、高純度に精製しました(筑波大)。一方、化成品を用いた検討により、まず、PBIの直接の原料となる3,4-ジアミノ安息香酸(DABA)をAHBAから簡便に合成する方法、DABAからPBIフィルムを作製する方法を開発しました(北陸先端大)。また、DABAとABAを共重合することで耐熱性が大きく向上することを見出し、これまでに存在するプラスチックの中で最高耐熱を達成しました(DABA:ABA=85:15のコポリマーの10%重量減少温度は740℃超、表1)(北陸先端大)。最終的に、紙パルプ糖化液を使って発酵生産した芳香族化合物から同等の性質を有するPBIフィルムを作製できることを示し、紙パルプから超高耐熱性PBIフィルムの一貫生産プロセスのプロトタイプを構築することに成功しました。
開発した超高耐熱性バイオPBIは、強度や軽量性にも優れており、さまざまな用途で利用が見込めます。まず、耐熱性が非常に高く、さまざまな軽量金属(アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫など)の融点で分解が起こらないため、これらの軽量金属と溶融複合化することができ、軽量化社会で重要となる自動車ボディ、建築部材などの社会インフラ、軽量・高耐熱性が求められる駆動部位周辺具材(電線エナメル、高耐熱絶縁紙、マニホールド、オイルパン)への応用も考えられます。超難燃性の求められる航空・宇宙機器の部品などへの活用も想定されます。これらの輸送機器はグラム単位での軽量化が要求されており、バイオPBIによりエネルギー削減、脱石油化・低炭素化社会への貢献が期待されます。また、PBIをLiイオン化し、Liイオン電池の固体電解質として利用できることを既に明らかにしており、より高耐熱の固体電解質開発も可能と考えられ(文献3)、次世代電気自動車開発に貢献できると考えています。
なお、本研究チームメンバーは内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」に採択され、現在も引き続きバイオPBIの社会実装に向けた研究開発に取り組んでいます。
- Tomoya Fujita, Hieu Duc Nguyen, Takashi Ito, Shengmin Zhou, Lisa Osada, Seiji Tateyama, Tatsuo Kaneko, Naoki Takaya. Microbial monomers custom-synthesized to build true bio-derived aromatic polymers. Appl. Microbiol. Biotechnol. 97(20):8887-8894. (2013) doi: 10.1007/s00253-013-5078-4.
- Yukie Kawasaki, Nag Aniruddha, Hajime Minakawa, Shunsuke Masuo, Tatsuo Kaneko, Naoki Takaya. Novel polycondensed biopolyamide generated from biomass-derived 4-aminohydrocinnamic acid. Appl. Microbiol. Biotechnol. 102(2):631-639. (2018) doi: 10.1007/s00253-017-8617-6.
- Aniruddha Nag, Mohammad Asif Ali, Ankit Singh, Raman Vedarajan, Noriyoshi Matsumi, Tatsuo Kaneko. N-Boronated Polybenzimidazole for Composite Electrolyte Design of Highly Ion Conductive Pseudo Solid State Ion Gel Electrolytes with High Li Transference Number. J. Mater. Chem. A. 7(9): 4459-4468. (2019) doi: 10.1039/c8ta10476j.
<論文情報>
掲載雑誌名 | 「Advanced Sustainable Systems」(オンライン版:10月14日公開) |
Ultrahigh Thermoresistant Lightweight Bioplastics Developed from Fermentation Products of Cellulosic Feedstock | |
著者 | Aniruddha Nag, Mohammad Asif Ali, Hideo Kawaguchi, Shun Saito, Yukie Kawasaki, Shoko Miyazaki, Hirotoshi Kawamoto, Deddy Triyono Nugroho Adi, Kumiko Yoshihara, Shunsuke Masuo, Yohei Katsuyama, Akihiko Kondo, Chiaki Ogino, Naoki Takaya, Tatsuo Kaneko*, Yasuo Ohnishi* |
DOI番号 | 10.1002/adsu.202000193 |
<用語解説>
(注1)ポリベンズイミダゾール
高耐熱性ポリマーであるポリベンズアゾール類の一種であり、繰り返し単位中に「ベンズイミダゾール」を含んでいる高分子の総称。
(注2)アラミド繊維
芳香族ポリアミド系樹脂の総称。耐熱性や強度に優れた合成繊維であり、様々な用途で利用されている。
(注3)リグニン
セルロース、ヘミセルロースとともに木材を構成する主要成分であり、芳香環を有する不定形な高分子化合物。
表1 新規開発バイオPBIおよびアラミド含有バイオPBIの熱分解温度の比較表
プラスチック | 10% 熱分解温度 |
力学強度 | 弾性率 |
(℃) | (MPa) | (GPa) | |
Bio-PBIフィルム (100/0) |
716 | 68 | 3.3 |
Bio-Ami-PBI (85/15)フィルム |
743 | 66 | 3.2 |
代表的PBO (これまで最高耐熱) |
715 | 5800 | 180 |
代表的アラミド | 585 | 3000 | 112 |
代表的ポリイミド | 580 | 231 | 2.5 |
既存PBI | 570 | 100 | 5 |
ナイロン6 | 415 | 75 | 2.4 |
*Bio-Ami-PBIは、史上最高の熱分解温度で力学物性も十分に高い(ナイロンと同等)
図1 紙パルプから超高耐熱性プラスチックフィルムの一貫生産プロセス
令和2年10月14日
出典:JAIST プレスリリース https://txj.mg-nb.com/whatsnew/press/2020/10/14-1.html北陸先端大を運営会場として国際学会「SSDM2020」をオンライン開催
9月27日(日)~9月30日(水)にかけて、2020 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM2020)が北陸先端大を運営会場としてオンライン開催されました。
SSDMは、日本の半導体産業にも多大な貢献のある同分野におけるアジア地域最大の国際学会です。固体素子・材料の科学と技術を幅広くカバーしており、日本で開催されている国際会議の中で最も伝統のあるものの一つでもあります。
SSDM2020は、当初、北陸地区では初めてとなる富山県での開催を予定していましたが、新型コロナウィルスの影響により、オンラインでの実施に変更となりました。
今回、事前登録者だけでも700名を超える参加者が集まり、情報通信技術(ITC)分野や、太陽光発電・バッテリーなどのエネルギーイノベーション・ライフイノベーションの応用分野などのさまざまな分野から研究者や技術者が参加し、開催期間中340件を超える研究発表が行われました。
オンライン開催であったSSDM2020は、指揮・統括を行う拠点であるバックオフィスを、共催機関である北陸先端大に設置し、実行委員長である水田教授(環境・エネルギー領域)、赤堀准教授(応用物理学領域)らを中心に、北陸先端大及び金沢大学の教員、学生が一丸となり、最大で10セッションがパラレルで進行する、大規模な国際学会の運営にあたりました。
バックオフィスで実際に運営にあたった近隣大学の学生らは、通常の学会運営とは異なるトラブルに見舞われることもありましたが、他大学の教員や留学生から研究発表とは違った刺激を受け、積極的に運営に取組んでいるようでした。
また、富山大学、富山県立大学や川崎市の株式会社東芝にもサテライトオフィスを設置し、学会運営やトラブル等への対応を行いました。
次回のSSDM2021は、2021年9月6日から9日の日程で、札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)で開催予定です。
バックオフィスで運営にあたる教員や学生の様子
令和2年10月2日
出典:JAIST お知らせ https://txj.mg-nb.com/whatsnew/info/2020/10/02-2.html物質化学領域の松村研究室の論文が国際学術誌の表紙に採択
物質化学領域の松村研究室の論文が英国王立化学会(RSC)刊行のJournal of Materials Chemistry B誌の 表紙(inside front cover)に採択されました。
本研究成果はタイ王国チュラロンコン大学との協同教育プログラムによるものです。
■掲載誌
J. Mater. Chem. B, 2020, 8, 7904-7913 掲載日2020年8月13日
■著者
Wichchulada Chimpibul(松村研修了生), Tadashi Nakaji-Hirabayashi, Xida Yuan(松村研博士後期課程2年)and Kazuaki Matsumura*
■論文タイトル
Controlling the degradation of cellulose scaffolds with Malaprade oxidation for tissue engineering
■論文概要
再生医療では、幹細胞を体外で培養し機能化を行った後に再度移植し疾患を治療する際に細胞培養用の足場材料を使用します。一般的には動物性のコラーゲンや合成高分子などが利用されていますが、安全性や機能性に改善の余地があると言われています。
本研究では、自然界に豊富にあるセルロースを酸化することで生体内分解性を付与することに成功し、安全かつ高機能な細胞培養足場材料として再生医療分野での利用を提案しています。
表紙詳細:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/tb/d0tb90155e#!divAbstract
論文詳細:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/tb/d0tb01015d#!divAbstract
令和2年9月18日
出典:JAIST お知らせ https://txj.mg-nb.com/whatsnew/info/2020/09/18-1.html世界初 キヌアからブラッダー細胞形成遺伝子を発見

世界初 キヌアからブラッダー細胞形成遺伝子を発見
石川県立大学 森 正之准教授、今村 智弘特任講師、古賀 博則客員教授、高木 宏樹准教授、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科、生命機能工学領域の大木 進野教授らは、(公財)岩手生物工学研究センターなどの機関と共同で、塩生植物キヌア(Chenopodium quinoa)からブラッター細胞の形成に関わる遺伝子を発見しました。 本研究成果は、「Communications Biology」で公開されました。
<ポイント>
- キヌアからブラッダー細胞形成に関わる新規WD40タンパク質をコードするREBC遺伝子を発見
- REBC遺伝子は、ブラッダー細胞形成のみならず葉緑体形成にも関与していることを発見
- ブラッダー細胞の茎頂保護機能を発見
<発表論文>
論文タイトル | A novel WD40-repeat protein involved in formation of epidermal bladder cells in the halophyte quinoa |
論文著者 | Tomohiro Imamura, Yasuo Yasui, Hironori Koga, Hiroki Takagi, Akira Abe, Kanako Nishizawa, Nobuyuki Mizuno, Shinya Ohki, Hiroharu Mizukoshi, and Masashi Mori |
雑誌 | Communications Biology (DOI: 10.1038/s42003-020-01249-w) |
<研究の背景>
国連大学の報告によると、世界の灌漑地の約1/5が塩害にさらされています。その被害は、年間およそ273億USドルの経済損失を引き起していることが報告されており、今後さらに広がることが予想されています。一方、世界の人口は、2050年までに97億人に達することが予想されております。そのため、この人口の爆発的な増加に耐えうる食糧生産は、早急に解決すべき大きな課題となっております。しかし、主要穀物である小麦やイネなどは、塩に弱いで植物であり、これらの主要穀物に対する塩害は、食糧生産において大きな問題となります。キヌアは、非常に高い耐乾燥性と耐塩性を併せ持ち、他の植物では生育困難な厳しい環境で生育できる塩生擬似穀物です。さらに、キヌアの種子は、必須アミノ酸・ミネラル・植物繊維を豊富に含み高い栄養価を持つことから、国際連合食糧農業機関(FAO)では、世界の食糧問題解決の切り札になり得るスーパーフードとして注目されています。
キヌアを含めたアカザ属植物は、植物体の表面に球状の表皮細胞(ブラッダー細胞)を形成します(図1)。ブラッダー細胞は、通常細胞の1000倍以上の大きさがあり、細胞内に高濃度の塩を蓄積することが知られています。このブラッダー細胞の性質は、キヌアの高い塩耐性の一因と考えられています。独自の形態と機能を持つブラッダー細胞ですが、その形成メカニズムは全く分かっていませんでした。
本研究では、塩生植物のキヌアに形成されるブラッダー細胞の形成機構を明らかにするために、ブラッダー細胞の形成に関わる遺伝子の単離を試みました。その結果、EMS処理の変異原処理により、ブラッダー細胞が著しく減少したrebc変異体を獲得し、次世代シークエンサーを用いた解析により、ブラッダー細胞形成に関わるrebc変異体の原因遺伝子(REBC)の単離に成功しました。その単離したREBC遺伝子は、ブラッダー細胞を形成しない植物には存在しないことが明らかとなりました。このことから、ブラッダー細胞の形成機構は、同じ植物の表皮細胞であるトライコームの形成機構とは異なることが示唆されました。さらに、rebc変異体はブラッダー細胞の形成のみならず葉緑体の形成にも影響を及ぼしていることが明らかとなりました。また、rebc変異体を用いた環境ストレス実験により、ブラッダー細胞は、塩を蓄積するだけでなく、その細胞を密集させることにより茎頂などの組織を環境ストレスから保護していることが明らかとなりました。
<研究の内容>
1.ブラッダー細胞が減少した変異体の作出
ブラッター細胞の形成に関わる遺伝子を単離するために、約8000粒のキヌア種子ついて、EMSを用いた変異原処理を実施しました。その結果、大部分のブラッダー細胞が欠失した変異体を得ることができました(図2)。この変異体を reduced epidermal bladder cells (REBC)変異体と命名しました。rebc変異体の分離比を確認しましたところ、野生型とrebc変異の割合が3:1に分離しました。興味深いことに、キヌアは異質4倍体の植物にもかかわらず、rebcの形質は、一遺伝子支配の劣勢形質であることがわかりました。
2.環境ストレス試験
キヌアは、ブラッダー細胞に塩を高濃度に蓄積することにより、高塩環境においても正常に生育できることが知られています。そこで、大部分のブラッダーが欠失したrebc変異体について、塩ストレス実験を実施しました。その結果、rebc変異体は、野生型に比べて高濃度の塩条件において生育が阻害されていることがわかりました。さらに、別の環境ストレスとして、茎頂に風を当て続けたところ、野生型では問題なく生育したのですが、rebc変異体では風によって茎頂にダメージを受けていることが明らかとなりました(図3)。これらの実験からブラッダー細胞は、塩を蓄積する機能のほかに、茎頂などの特定の組織に密集して存在することにより、風などの環境ストレスから組織を保護していることが新たに明らかとなりました。
3.rebc変異体の原因遺伝子の特定
rebc変異体の原因遺伝子を明らかにするために、次世代シークエンサーを用いたin silico subtraction 法を利用して変異箇所の特定を試みました。その結果、rebc変異体は、新規なWD40ドメインタンパク質遺伝子の変異が原因であることを明らかにし、その遺伝子をREDUCED EPIDERMAL BLADDER CELLS (REBC)遺伝子と名付けました(図4)。他植物の表皮細胞であるトライコームでは、その形成に関与する遺伝子が同定されており、その中でWD40ドメインタンパク質としてTTG1遺伝子が重要な役割をしています。REBCとTTG1を比較したところ、これらのタンパク質は、別の機能を持つタンパク質であることが示唆されました(図5)。またトライコームを形成する植物体には、REBC遺伝子のオルソログが存在しませんでした。これらの結果より、ブラッダー細胞の形成は、トライコームとは異なる機構の存在が示唆されました。
4.rebc変異体における葉緑体形成
rebc変異体について、網羅的な発現解析を実施したところ、発現が変動した遺伝子の多くが葉緑体局在タンパク質をコードする遺伝子でありました。さらに、クロロフィル含量を測定したところ、rebc変異体のクロロフィル含量が有意に低下していることが明らかとなりました。そこで、rebc変異体の葉緑体の形態について、電子顕微鏡を用いて観察しました。その結果、rebc変異体の葉緑体は、内部構造の約1/3が欠失していることが明らかとなりました(図6)。さらに、ブラッダー細胞の葉緑体を観察した結果、rebc変異体のブラッダー細胞の中の葉緑体は、野生型に比べクロロフィルの自家蛍光の強度が低下し、さらにブラッダー細胞あたりの葉緑体数が減少していることが明らかとなりました。以上の結果より、rebc変異体は、ブラッダー細胞の形成のみならず、葉緑体の形成にも影響を及ぼしていることが明らかになりました。
<今後の展望>
本研究成果によって、キヌアのブラッダー細胞形成に関する分子メカニズムの一端を明らかにすることができました。今後、ブラッダー細胞の形成に関する分子メカニズムの全容が明らかになることが期待できます。さらに、ブラッダー細胞形成の知見を利用することによって、キヌアの塩耐性機構を組み入れた新たなコンセプトの環境ストレス耐性作物を作出することが期待できます。
図1 キヌアのブラッダー細胞 (a)キヌア植物体、(b)キヌアの葉(裏側)、(c)キヌアの葉(拡大)、
(d-f) キヌアブラッダー細胞 BC:ブラッダー細胞、SC: 柄細胞
図2 rebc変異体について (a-c)キヌア芽生え (d-f)キヌア芽生え(茎頂付近)
(a, d)野生型、(b, e)rebc1変異体、(c, f)rebc2変異体
図3 風ストレス処理による影響 (a)野生型、(b)rebc1変異体、(c)rebc2変異体
・rebc変異体は風ストレスによって、茎頂が枯死している。
図4 REBC遺伝子の単離 (a) REBC遺伝子の概略図 赤矢印はrebc変異体の変異箇所
(b)rebc1×rebc2交配後代(F1)の解析
・rebc1×rebc2交配個体も、rebc変異の形質を示したことから、REBCが原因遺伝子であることが明らかとなった。
図5 (a) REBCとTTG1との比較(系統樹解析)、(b) アラビドプシスttg1変異体を用いた相補実験
上段:ベクターコントロール、中段:REBC過剰発現体、下段:AtTTG1過剰発現体
・REBCタンパク質は、TTG1タンパク質とは別のグループに属し、TTG1の機能を相補することができない。
図6 rebc変異体の葉緑体について (a-c) 走査型電子顕微鏡像 (b-f)透過型電子顕微鏡像
(a, d)野生型、(b, e)rebc1変異体、(c, f)rebc2変異体
・rebc変異体では、葉緑体の膜構造1/3が欠失している。
<用語説明>
- キヌア
ヒユ科アカザ亜科アカザ属の植物。南米アンデス原産の穀物で必須アミノ酸・ミネラル・植物繊維を豊富に含み高い栄養価を持ち、さらに、環境適応能力が高く、非常に高い耐乾燥性と耐塩性を合わせ持ち、国際連合食糧農業機関(FAO)は、世界の食糧問題解決の切り札になり得る作物として注目している。近年、我々のグループとその他のグループによってキヌアゲノムが解読され、キヌアが持つ環境ストレス耐性および高栄養価についての遺伝子研究が進められている。 - 擬似穀物
米や麦などのイネ科(禾穀類)や、大豆や小豆などのマメ科(菽穀類)ではないが、見た目がイネ科の穀物に類似した食べられる種子を形成する植物(ソバ、キヌア、アマランサスなど)を指す。 - in silico subtraction法
次世代シークエンサーのシークエンスデータを用いて、サンプル間の塩基配列の違い(多型、変異箇所)を特定する方法。異質倍数体の植物(キヌアは異質4倍体)でも検出が可能。本研究では、親から分離した後代について、野生型形質を示す個体群と、rebc変異形質を示す個体群を、それぞれまとめてゲノムを抽出し、次世代シークエンサーによって、それぞれの形質を示す個体群のシークエンスリードを獲得。その後、二形質間のシークエンスリードを比較することにより、形質を支配する遺伝子を特定した。
令和2年9月17日
出典:JAIST プレスリリース https://txj.mg-nb.com/whatsnew/press/2020/09/17-1.htmlNEDO「ムーンショット型研究開発事業」研究開発プロジェクトに採択
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国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 |
このたび、北陸先端科学技術大学院大学(学長・寺野 稔、石川県能美市)ら8機関による提案研究が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ムーンショット型研究開発事業※」におけるムーンショット目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」の達成を目指す研究開発プロジェクトに採択されました。
1)ON型光スイッチ:陸域の生活圏では材料として安定ですが、投棄後に海洋流出するまでの過程で生じる表面損傷などにより太陽光がプラスチック内部に届き生分解が始まる(ON)スイッチです。 2)OFF型光スイッチ:蛍光灯や太陽光暴露のある状態では生分解が抑制(OFF)され、海中・海底・コンポストなどの暗所の環境で生分解が始まるという「光スイッチ」です。 3)また、これらを具有させたON/OFF型という理想的システムも同時に提案します。 さらには、海洋生物が誤飲したり周りまわって人間の食料中に混ざり込んでも消化管内で物理的障害や化学的毒性を生じない「食せるプラスチック」の開発も目指します。 2030年にはこれらの海洋実環境における分解性を証明し衣料品やビニール袋などの試作品を作製します。さらに、上記のシステムは広範囲のプラスチックに適用できるため、2050年までにはさらに多くのプラスチックへと展開し様々な種類や形態の光スイッチ型分解性プラスチック製品へと展開します。本プロジェクトは、二酸化炭素の固定化、炭素循環および窒素循環などの概念を取り入れた統合的な地球環境保全・再生に資するものです。加えて、本プロジェクトは、成熟期に差し掛かってきた我が国の石油化学産業をバイオ化学産業に業態転換せしめ、新たな成長に向けたパラダイムチェンジ型イノベーションの一端を担う可能性を有します。 |
<参 考>
1 ムーンショット型研究開発制度
本制度の詳細については、以下を参照
https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/index.html
2 ムーンショット目標
2020年1月CSTIにおいてムーンショット目標1~6が決定。2020年7月には健康・医療戦略推進本部においてムーンショット目標7が決定
目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
目標3:2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
目標5:2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な
食料供給産業を創出
目標6:2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現
目標7:2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむための
サステイナブルな医療・介護システムを実現
3 NEDOムーンショット型研究開発事業の採択結果
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101346.html
令和2年9月7日
出典:JAIST プレスリリース https://txj.mg-nb.com/whatsnew/press/2020/09/7-1.html研究員の王さんが中国国家留学基金管理委員会(CSC)「2019年優秀自費留学奨学金賞」を受賞
研究員の王衆望さん(令和2年3月本学博士後期課程修了、環境・エネルギー領域、水田研究室)が中国国家留学基金管理委員会(CSC)による「2019年優秀自費留学奨学金賞」を受賞しました。
優秀自費留学奨学金賞は、中国国家留学基金管理委員会(CSC)が2003年から中国自費留学生を対象として設置した賞で、毎年全世界にいる中国留学生から優れた研究業績を上げた博士留学生500名を選び、表彰するものです。日本ではわずか20名ほどが表彰されます。また、受賞者の指導教員にもCSCからの感謝状が授与され、今回、指導教員である水田 博教授もCSCからの感謝状を受理しました。
王さんは平成27年4月に環境・エネルギー領域の水田・マノハラン研究室に入り、令和2年3月までに本学の博士前期課程、博士後期課程を修了し、博士学位を取得しました。今回の受賞は、王さんの努力と本学の教育力、研究力が大きく認められたものと考えられます。
水田 博教授(右)と王衆望さん(左)
令和2年8月25日
出典:JAIST 受賞https://txj.mg-nb.com/whatsnew/award/2020/08/25-1.html