研究活動の検索
研究概要(研究室ガイド)やプレスリリース・受賞・イベント情報など、マテリアルサイエンスの研究室により公開された情報の中から、興味のある情報をタグや検索機能を使って探すことができます。高分子材料の機能化、高性能化をレオロジー的な手法で行います


高分子材料の機能化、高性能化を
レオロジー的な手法で行います
材料レオロジー研究室 Laboratory on Materials Rheology
教授:山口 政之(YAMAGUCHI Masayuki)
E-mail:
[研究分野]
高分子レオロジー、成形加工
[キーワード]
インテリジェントポリマー、バイオマスポリマー、マテリアルリサイクル
研究を始めるのに必要な知識・能力
マテリアルサイエンス(材料科学)系分野に関する基礎知識があれば、これまでの専門は気にせずとも結構です。むしろ意欲ある学生を希望します。
この研究で身につく能力
高分子はひとつの分子が線状で長いことが最大の特徴です。このような分子形状であるため、高分子は“からみ合い”相互作用を示します。その結果、例えば液体状態でも弾性を示し、さまざまな成形加工が適用できるようになります。からみ合いは高分子らしさを表す最も適切な特性であると言え、レオロジーではその「からみ合い」により示される特性や、それによって形成される構造を取り扱います。当研究室ではレオロジー的な考え方や成形加工の技術を取り入れることで、新しい機能材料や、ポリマー系材料の高性能化へ取り組み、世の中の役に立つ新規材料を創出しています。これらの研究で身につく材料設計に対する考え方は、企業における研究でも大いに役立ちます。
【就職先企業・職種】 高分子材料を扱う樹脂メーカー、加工メーカー、ユーザーなど(詳細はHPに記載)
研究内容
当研究室では、レオロジー特性の新しい制御技術、成形加工技術、ブレンド・アロイやコンポジットなどの樹脂複合化の独自技術を「武器」として、新しい材料設計を化学反応に頼ることなく創出しています。
対象とする材料は、ポリ乳酸やセルロースなどのバイオマス系ポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンなどの汎用高分子、ポリメタクリル酸メチルやポリカーボネートなどの光学ポリマー、各種エラストマーなど、ほとんどの高分子材料であり、さらにカーボンナノチューブなどのナノ粒子、各種樹脂添加剤を幅広く取り扱っています。また、高分子以外にも、化粧品や食品などを研究対象とすることがあります。これらの材料の組み合わせや改質、さらには成形により、さまざまな機能を付与し、また、高性能化を行っています。
応用分野はさまざまですが、自動車関係の材料や次世代のディスプレイなど、日本の技術力が強い分野を中心にした研究開発が多くなっております。得られた研究成果の一部は既に工業的にも応用されています。また、成形加工のトラブルや高速成形に対する研究も進め、高分子加工を技術的にサポートしております。以下、研究例の一部を紹介します。
【高分子系複合材料の研究開発】
分子レベルで異種物質の凝集状態を高度に制御することにより、ポリマー系複合材料の高性能化を目指す研究です。次世代気自動車などへの用途展開が期待できる透明樹脂や内装材向け樹脂、透明かつフレキシブルな導電性ポリマーフィルム、植物由来の原料を用いた革新的な光学デバイスなどの開発に取り組んでいます。また、ポリ乳酸の革新的な高性能化など低環境負荷材料を用いた研究も積極的に推進しています。
【レオロジー制御による機能性ソフトマテリアルの材料設計】
レオロジーの考え方はポリマーのみならず、さまざまな分野で必要とされます。特に、ソフトマテリアルである食品や生体材料、化粧品などではレオロジー特性の把握が必要不可欠です。本テーマでは、これら機能性ソフトマテリアルの材料設計をレオロジーの観点から進めています。切断しても再び元通りに治癒する自己修復性材料、形状記憶材料などの設計指針をこれまでに提案しています。
【成形加工技術の深化・構築】
優れた高分子材料でも、成形加工できなければ世の中で使用されません。そのため高分子産業では、成形加工に必要不可欠なレオロジーの専門家を常に必要としています。その基礎となる研究を実施すると共に、新材料のレオロジー特性を明らかにすることで実用化へ貢献しています。
主な研究業績
- 環境問題に立ち向かうポリオレフィンの成形加工技術,山口政之, 成形加工, 32(9), 301 (2020).
- 低分子添加による複屈折制御,山口政之,工業材料,66(4), 33-37 (2018).
- 成形加工性向上のための高分子レオロジー制御技術,山口政之,機能材料,38(4), 4-12 (2018).
使用装置
レオロジー測定装置
成形加工機
分光分析装置
力学特性評価装置
研究室の指導方針
当研究室では、主として高分子物性に関する知見に基づいて、材料の設計から成形技術に至るまで、さまざまな研究テーマを設定し活動しています。また、実際に役立つ研究を行うために、企業との共同研究を積極的に進めています。私自身の企業経験も活かしながら就職活動へのサポートも行い、総合的な力を伸ばしてもらいたいと考えています。
ポリマー材料の研究開発に興味をお持ちの方は、是非、当研究室を訪問してください。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/ms/labs/yamaguchi/
エレクトロニクスの機能的多様化を目指す化合物半導体デバイス技術


エレクトロニクスの機能的多様化を目指す
化合物半導体デバイス技術
化合物半導体エレクトロニクス研究室
Laboratory on Compound Semiconductor Electronics
教授:鈴木 寿一(SUZUKI Toshi-kazu)
E-mail:
[研究分野]
化合物半導体エレクトロニクス
[キーワード]
化合物半導体デバイス、異種材料融合技術、超高速デバイス、省エネルギーデバイス、デバイス計測技術
研究を始めるのに必要な知識・能力
必要な知識・能力ということではありませんが、ものごとの本質を理解したいという意欲、数学や物理学の基礎力とそれを支える論理性は、研究を進める際に重要であると考えています。
この研究で身につく能力
化合物半導体電子デバイスの作製技術および測定解析技術を身に付けながら、デバイス内の電子の挙動を物理的に考察して理解することができるようになると思います。こうした能力は、将来エレクトロニクスの広い分野で活躍するための素地となると考えています。また、産学連携を通じて産業界の問題意識を感じてもらうことも期待しています。さらに、日本語および英語によるプレゼンテーション能力の向上も目指します。
【就職先企業・職種】 総合電機、半導体・電子部品、半導体製造装置、通信機器、輸送機器、自動車
研究内容

化合物半導体高速トランジスタ

デバイスの周波数応答特性

異種材料基板上化合物半導体デバイス

異種材料閉じ込めによる二次元電子状態
<エレクトロニクスの機能的多様化に向けて>
現在のディジタルエレクトロニクスの主役であるSiデバイスは、微細化による性能向上を続けてきました。しかし、こうした「More Moore」の軸に沿った進歩の限界が意識されるようになっています。今後のエレクトロニクスの発展のためには、「More than Moore」の視点に基づく機能的多様化が必要であり、それに向けて重要な役割を果たすのが化合物半導体デバイスです。
<化合物半導体とは?>
III-V 族を中心とした化合物半導体は多彩な材料系であり、これまでもSi では不可能な様々な機能を有するデバイスに応用されてきました。特に、高い電子移動度と高い電子飽和速度を有する化合物半導体は高速電子デバイス応用に、また、直接遷移型の化合物半導体は光デバイス応用に好適であるため、化合物半導体を用いたデバイスは、高速アナログ・ミックスドシグナルエレクトロニクス、光エレクトロニクス分野で利用されてきました。これまで、GaAs 基板上格子整合材料が化合物半導体の第一世代として、InP 基板上格子整合材料が第二世代として大きな役割を果たしてきましたが、今後は、高In 組成InGaAs、InAs、Sb 系材料などのナローギャップ化合物半導体と、GaN、AlN などのワイドギャップ化合物半導体の重要性が高まると考えられます。これらナローギャップ半導体は中赤外光に対応するエネルギーギャップを、ワイドギャップ半導体は紫外光に対応するエネルギーギャップを有しており、それぞれの波長域における光デバイス応用に重要です。また、電子有効質量は概ねエネルギーギャップと比例関係にあり、ナローギャップ化合物半導体は小さい電子有効質量を有しています。電子有効質量が小さければ、高い電子移動度と高い電子飽和速度が得易いため、ナローギャップ半導体は超高速デバイス応用に有用です。ただし、高耐圧化に適したワイドギャップ半導体に対し、ナローギャップ半導体の耐圧は低く、充分なパワー性能を得ることが困難です。一方、GaN は電子有効質量が大きく、この点ではデバイス高速化に有利ではないように思われますが、大きい光学フォノンエネルギーと特有のバンド構造により、電子移動度こそ低いものの、高い電子飽和速度を有しているため、高速性能とパワー性能を併せ持ったデバイスへの応用が期待されます。
<本研究室の取り組み>
こうした特長を有する化合物半導体を適材適所にデバイス応用することは、エレクトロニクスの機能的多様化に向けて極めて重要です。さらに、化合物半導体と異種材料を融合集積する技術によって、より高度な機能的多様化の可能性も期待できます。こうした背景のもと、本研究室では、ナローギャップ/ ワイドギャップ化合物半導体エレクトロニクスの研究に取り組んでいます。次世代の超高速デバイスや省エネルギーデバイスを目指し、ナロー/ ワイドギャップ化合物半導体デバイス技術とそれらの異種材料融合技術の研究を進めながら、デバイス動作を深く理解するためのデバイス計測技術も開拓しています。
主な研究業績
- Low-frequency noise in AlTiO/AlGaN/GaN metal-insulator-semiconductor field-effect transistors with non-gate-recessed or partially-gate-recessed structures, D. D. Nguyen, Y. Deng, and T. Suzuki, Semicond. Sci. Technol. 38, 095010 (2023).
- Mechanism of low-temperature-annealed Ohmic contacts to Al-GaN/GaN heterostructures: A study via formation and removal of Ta-based Ohmic-metals, K. Uryu, S. Kiuchi, T. Sato, and T. Suzuki, Appl. Phys. Lett. 120, 052104 (2022).
- Electron mobility anisotropy in InAs/GaAs(001) heterostructures, S. P. Le and T. Suzuki, Appl. Phys. Lett. 118, 182101 (2021).
使用装置
分子線エピタキシー装置
電子線・紫外線リソグラフィー装置
パラメータアナライザ
ネットワークアナライザ
ダイナミックシグナルアナライザ
研究室の指導方針
・理学の心で工学を。ものごとの本質を理解することを大切にします。
・少しづつであっても、自分でよく考え、納得しながら前進することが重要であると考えています。
・学生と教員がよき共同研究者となり、お互いに成長することを目指します。
・毎週行う研究報告会・日本語輪講・英語輪講を通じ、エレクトロニクス分野で活躍するための基礎を固めます。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/nmcenter/labs/suzuki-www/
化学と生物の融合による新たな人工タンパク質の創製


化学と生物の融合による
新たな人工タンパク質の創製
人工タンパク質合成研究室
Laboratory on Nonnatural Protein Biosynthesis
教授:芳坂 貴弘(HOHSAKA Takahiro)
E-mail:
[研究分野]
遺伝子工学・タンパク質合成・ケミカルバイオロジー
[キーワード]
遺伝暗号拡張、人工タンパク質、非天然アミノ酸、無細胞翻訳系、蛍光分析
研究を始めるのに必要な知識・能力
タンパク質や遺伝子に興味を持っていること。生物化学・有機化学に関する基礎的な知識や実験技術が必要になりますが、入学後に修得することも可能です。
この研究で身につく能力
遺伝子工学・タンパク質合成・有機合成・蛍光分析などに関する専門的な知識と実験技術を修得することができます。また研究活動を通じて、実験計画の立案・関連研究の調査・実験データの取得と分析・研究成果のまとめとプレゼンテーション、に至る一連の研究プロセスを学ぶことができます。これらの能力は、技術者・研究者としていずれも必要不可欠なものです。
【就職先企業・職種】 化学・生物関連企業、研究機関
研究内容
遺伝子工学・タンパク質合成などの生物化学的手法と、有機合成などの化学的手法を組み合わせることで、新たな人工タンパク質の創製を目指して研究を行っています。具体的には、以下のような研究テーマを進めています。また、研究室で得られた成果を企業と共同で実用化するための研究も行っています。

図1.4塩基コドンを用いた非天然アミノ酸のタンパク質への導入

図2.抗原分子を検出できる蛍光抗体センサーの例
1.遺伝暗号の拡張による非天然アミノ酸のタンパク質への導入
タンパク質はDNAの遺伝暗号に従ってアミノ酸が連なって合成され、それが精密な立体構造を形成することで、高度な機能を発揮しています。しかし生物が使用しているのはわずか20種類のアミノ酸のみです。私たちは、この20種類の制限を超えて、人工的に合成した「非天然アミノ酸」をタンパク質の特定部位に導入することのできる、新たな技術の開発に成功しています。これは、4塩基コドンなどの拡張遺伝暗号に非天然アミノ酸を割り当てる(図1)、という新しい概念によって達成されています。
2.新たな機能を持つ人工タンパク質の創製
上記の技術を利用することで、新たな機能を持った人工タンパク質の創製を進めています。例えば、抗体などの特定の分子を認識して結合するタンパク質に、蛍光分子を付加した非天然アミノ酸を導入することで、蛍光により標的分子を検出できるタンパク質センサーを合成できます(図2)。また、非天然アミノ酸の導入技術を利用することで、新しいタンパク質医薬品の合成も試みています。これらの研究の一部は、企業・研究機関との共同研究により進めています。
3.生物の潜在能力を利用した新たなバイオ技術の開発
非天然アミノ酸のタンパク質への導入技術は、生物がもともと持っている潜在能力を、人工的に引き出して活用したものと言えます。私たちは、そのような生物の持つ潜在能力を新たに見つけ出し利用することで、人工タンパク質などの有用物質を合成することのできる、新たなバイオ技術の開発にも挑戦しています。
主な研究業績
- A. Yamaguchi, T. Hohsaka, Synthesis of novel BRET/FRET protein probes containing light-emitting proteins and fluorescent nonnatural amino acids, Bull. Chem. Soc. Jpn., 85, 576-583 (2012).
- R. Abe, H. Ohashi, I. Iijima, M. Ihara, H. Takagi, T. Hohsaka, H. Ueda, “Quenchbodies”: Quench-based antibody probes that show antigen-dependent fluorescence, J. Am. Chem. Soc., 133, 17386-17394 (2011).
- 芳坂貴弘、非天然アミノ酸のタンパク質への導入技術-バイオメディカル応用に向けて、メディカルバイオ別冊, 72-77 (2010).
使用装置
蛍光分析装置(分光光度計・蛍光寿命測定・蛍光スキャナなど)
遺伝子解析装置(DNAシーケンサー・リアルタイムPCRなど)
質量分析装置
研究室の指導方針
人工タンパク質に関連した研究テーマに対して、実験を通じて新たな成果を挙げるとともに、その研究プロセスを修得することを目標としています。具体的には、各自の研究テーマに対して、実験を試行錯誤的に繰り返す過程を通じて、実験計画の立案、結果の解釈と問題点の把握、次の実験計画へのフィードバック、などを独力で遂行できる能力を鍛錬します。そのために、研究室ゼミでは定期的に研究報告会を開催して、進捗状況の確認と指導・助言を行います。また、研究成果は積極的に学会等で発表する機会を設けています。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/ms/labs/hohsaka/
ナノとバイオを融合して医療と環境の問題を解決する


ナノとバイオを融合して
医療と環境の問題を解決する
バイオナノ医工学デバイス 研究室
Bio-Nano Medical Device Laboratory
教授:高村 禅(TAKAMURA Yuzuru)
E-mail:
[研究分野]
BioMEMS、微小流体デバイス、分析化学、バイオセンサ
[キーワード]
血液分析チップ、一細胞解析、質量分析チップ、マイクロ元素分析、微細加工プロセス、バイオチップ、マイクロプラズマ
研究を始めるのに必要な知識・能力
私たちが扱う対象は分野融合的要素が強く、従って本研究室では様々なバックグラウンドの学生を受け入れております。生物、化学だけでなく、物理、機械、電子、制御、材料など、個人のバックグラウンドに応じたテーマを設定し、研究を進めます。
この研究で身につく能力
何かを解析するチップの研究が多いので、分析科学の要素は押し並べて身につきます。微量なサンプルを扱うので、微量な生体サンプルのハンドリング技術、生体分子と無機材料の界面の調整技術、微量な蛍光や光信号の観察・計測技術等が身につきます。また、チップを作成するには、フォトリソグラフィー等、マイクロマシンの技術が身につきます。新しい材料を使う場合は、成膜やエッチングの為のプロセス開発を行うこともあります。チップの開発では、流体の動きや熱の伝達をシミュレーションし設計することもあります。修了生は、計測機器メーカへの就職が多いですが、半導体製造機器メーカや、薬品会社へ就職する方もいらっしゃいます。
【就職先企業・職種】 計測機器メーカ、電気、機械、半導体製造機器メーカ、半導体メーカ、薬品関連
研究内容
半導体プロセスを応用して、ウエハ上に小さな流路や反応容器、分析器等を作りこみ、一つのチップの上で、血液検査等に必要な一通りの化学実験を完遂させようという微小流体デバイス、μTAS(micro total analysis systems)やLab on a chipと呼ばれる研究分野が急速に発展しています。これは、病気の診断、創薬、生命現象の解析に応用でき、大きな市場と新しい学術分野を開拓するものとして期待されております。また、いろいろな形状の微小流路内を、流体や大きな分子が流れるときの挙動は、ブラウン運動や界面の影響が支配的で、流体力学でも分子動力学でも扱えない新しい現象を含んでいます。当研究室は、このような新しい現象をベースに、ナノとバイオを融合した次世代のバイオチップ創製を目指した研究を行っています。
主なテーマを次に示します。

図1.作成したバイオチップの例

図2.汎用微小流体チップ案
1)高集積化バイオ化学チップの開発
高機能バイオチップの実現には、チップ内での流体の駆動機構と、高感度な検出器の開発が重要になります。本研究室では、溶液プロセスによるPZTアクチュエータアレイや電気浸透流ポンプをはじめ様々なチップ内での液体駆動機構と、ナノ材料を駆使した新しい検出器の開発を進めています(図1)。これらを用いて、組織中の一細胞を分子レベルで解析可能なチップや、高度な処理をプログラム次第で様々にこなす汎用微小流体チップの開発を目指しています(図2)。
2)高感度バイオセンシング技術の開発
一滴の血液には、体内の様々な状態を反映した多くの情報が含まれております。これらを頻繁に解析することで、重篤な病気の超早期発見や、日々の健康管理、あるいは老化や病気が起きにくい体質になるために食事や運動をガイドする等、様々なことが可能になると考えられております。このためには、非常に微量なバイオマーカを簡易に測定する技術が必要です。私どもは、自己血糖測定器と同じ手間とコストでpg/mLオーダの測定ができるチップや、質量分析チップの開発を行っております。
3)液体電極プラズマを用いたマイクロ元素分析器の開発
中央を細くした微小な流路に液体のサンプルを導入し、高電圧を印加するとプラズマが発生します。このプラズマからの発光を分光することにより、サンプル中の元素の種類と量を簡単・高感度に測定することができます。この原理を用いて、食物、井戸水、土壌工場廃水・廃棄物に含まれている有害な金属(Hg、Cd、Pbなど)などを、オンサイトで測定できるマイクロ元素分析器の開発を行っています。
主な研究業績
- Pulse-heating ionization for protein on-chip mass spectrometry,Kiyotaka Sugiyama, Hiroki Harako, Yoshiaki Ukita, Tatsuya Shimoda, Yuzuru Takamura, Analytical Chemistry, 86, 15, 7593-7597, 05 August 2014.
- Development of automated paper-based devices for sequential multistep sandwich enzyme-linked immunosorbent assays using inkjet printing, Amara Apilux, Yoshiaki Ukita, Miyuki Chikae, Orawom Chilapakul and Yuzuru Takamura, Lab Chip,13(1), 126-135, January 2013.
- High sensitive elemental analysis for Cd and Pb by liquid electrode plasma atomic emission spectrometry with quartz glass chip and sample flow, Atsushi Kitano, Akiko Iiduka, Tamotsu Yamamoto, Yoshiaki Ukita, Eiichi Tamiya, Yuzuru Takamura, Analytical Chemistry 83(24), 9424-9430, 04 November 2011.
使用装置
クリーンルーム半導体製造装置一式
電気化学測定装置
表面プラズモン共鳴測定装置
イムノクロマトグラフ製造装置
全反射蛍光一分子観察装置
研究室の指導方針
iPS細胞など最近の新しい医療技術の多くは、新しい工学的技術の進歩が発端になっていることをご存知でしょうか。その多くに、高度に発展したナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合技術が使われています。この分野は、まさに今アクティブで、また人類への多くの貢献が期待されている分野でもあるのです。私どもの研究室には、様々なバックグランドと目的を持った学生さんが来ます。私どもは一人ひとりの目的に合わせたゴールを設定し、そこに向かって必要なものを自ら獲得できる様に、サポートとガイドを行うことを主な指導方針としています。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/ms/labs/takamura/index.html
タンパク質の「形」や「動き」をしらべて、未知の生命現象をひもとく


タンパク質の「形」や「動き」をしらべて、
未知の生命現象をひもとく
タンパク質NMR研究室 Laboratory on Protein NMR
教授:大木 進野(OHKI Shinya)
E-mail:
[研究分野]
構造生物化学、生物物理学、NMR(核磁気共鳴分光法)
[キーワード]
タンパク質、構造と機能、立体構造、ダイナミクス、相互作用、NMR、安定同位体標識
研究を始めるのに必要な知識・能力
試料調製(遺伝子工学、生化学)、NMR実験(パラメータ設定、多様な測定、データ処理)、解析(NMRデータ解析、バイオインフォマティクス)の3つの要素のうち、少なくとも1つに関しての知識・能力があれば、この分野の研究を始めやすいです。PC操作に強い人も歓迎します。
この研究で身につく能力
生命現象を分子レベルで考える能力が養われます。研究で扱っているのは生体分子ですが、境界領域とか複合領域と呼ばれる研究分野のため、物理・化学・生物の幅広い基礎知識が必要になります。そのため、自ずとこれらを勉強して身につけることになります。また、具体的な研究立案を通して、大目標へ到達するための道筋を考えた中目標や小目標の立て方を学びます。実験がうまくいかないときの工夫やデータの解析・解釈など、実際に研究を進めていく中で困難な課題を少しずつ解決し、それらを統合して目標へ向かっていく能力が養われます。さらに、研究経過報告や学会発表を経験することで、学術的な文章を書く能力や発表資料の作成能力、プレゼンテーション能力も身につきます。
【就職先企業・職種】 製薬・食品・化学系企業の研究、技術職
研究内容

図.気孔を増やすストマジェンの立体構造。

図.1H-13Cの相関をみる2次元NMR(HSQC)スペクトルのメチル基領域の拡大図。タンパク質全体が13Cで安定同位体標識されている試料(左)とバリン・ロイシンのみが標識されている試料(右)。
(1)安定同位体標識技術の開発
NMR(核磁気共鳴分光法)で測定するタンパク質は、見たい部位の炭素が13C、窒素が15Nという安定同位体で標識されていることが必要です。このような特殊なタンパク質試料は、通常、遺伝子組み換え大腸菌を使って調製されます。類似の手法として、私たちは、これまで無かった植物培養細胞を利用する安定同位体標識タンパク質調製技術を開発しています。大腸菌よりも高等な植物細胞は、大腸菌では調製が困難な複雑な構造のタンパク質を調製する潜在能力を持っています。私たちはこれまでに、このオリジナル技術を使って試料タンパク質を13Cや15Nで均一標識することや、バリン、ロイシンなどのメチル基を有するアミノ酸残基だけを特異的に安定同位体標識することに成功しています。今後は、この標識技術のさらなる高度化に取り組んでいきます。
(2)ジスルフィド結合を有するタンパク質
ジスルフィド(SS)結合を有するタンパク質を大腸菌の系で調製することは困難です。私たちは、植物培養細胞を利用してSS結合を有するタンパク質を調製し、それらの構造と機能をNMRで研究しています。幾つかの成果の例を以下に紹介します。
ストマジェンは分子内に3組のSS結合を持つペプチドホルモンで、植物の気孔の数を増やす働きをします。大腸菌ではストマジェンを大量に調製することが困難でしたが、植物培養細胞での調製に成功しました。安定同位体標識されたストマジェンを調製し、その立体構造をNMRで解明しました。その結果、ストマジェンや類縁タンパク質の特異な機能と構造との関連が明らかになりました。今では、気孔の数を増やしたり減らしたりするペプチドを設計・調製し、実際にその効果を確認することが出来るようになっています。将来、植物の光合成量や成長を人為的に自在に操ることが可能になれば、環境改善や食料問題の解決に貢献できるはずです。
分子内に4組のSS結合を持つESFは、植物の種子が出来るごく初期の段階でのみ発現するペプチドとして発見されました。ESFが働かなくなると、種子の大きさや形が不揃いになります。私たちは、ESFを植物培養細胞で調製することに成功し、その立体構造をNMRで決定しました。この結果、ESF分子表面の特別な並びをしたトリプトファン残基の側鎖がその機能に必須であることが明らかになりました。大きな種子を収穫したり、種のないフルーツを簡単に作れる日が来るかも知れません。
他にも、昆虫や爬虫類の毒ペプチドや抗菌作用を持つディフェンシンなど、SS結合を持つタンパク質は数多く存在します。これらについても構造と機能の関係を研究しています。このような生理活性を持つ生体分子についての研究は、生命現象を深く理解するだけにとどまらず、その成果が新薬開発の大きな助けとなります。
(3)シグナルを伝達するタンパク質
生体内では、タンパク質、脂質、遺伝子など多くの分子の協奏によってさまざまなシグナルが行き交っています。これらのシグナルは、メチル化、アセチル化といった修飾や、マグネシウム、亜鉛などのイオンとの結合・解離による分子構造や構造の揺らぎ具合の変化がスイッチとなって、他の分子と相互作用することで伝達されています。私たちは、カルシウムを結合するタンパク質やリン酸化されるタンパク質に焦点を絞り、それらの構造と機能をNMRで研究しています。
主な研究業績
- L.M.Costa, E.Marshall, M.Tesfaye, K.A.T.Silverstein, M.Mori, Y.Umetsu, S.L.Otterbach, R.Papareddy, H.G.Dickinson, K.Boutiller, K.A.VandenBosch, S.Ohki & J.F.Gutierrez-Marcos. (2014) “Central Cell-Derived Peptides Regulate Early Embryo Patterning in Flowering Plants” Science 344, 168-172.
- S.Zhu, S.Peigneur, B.Gao, Y.Umetsu, S.Ohki & J.Tytgat. (2014) “Experimental Conversion of a Defensin into a Neurotoxin: Implications for Origin of Toxic Function” Mol. Biol. Evol. 31(3), 546-559.
- S. Ohki, M. Takeuchi & M. Mori. (2011) “The NMR structure of stomagen reveals the basis of stomatal density regulation by plant peptide hormones” Nature Communications 2, Article number: 512 doi:10.1038/ncomms1520
使用装置
Bruker AVANCE III 800MHz-NMR装置(1H/13C/15N三重共鳴クライオプローブ付き)
研究室の指導方針
将来全く別の研究・技術の領域に飛び込んだとしても十分活躍していけるような基礎的素養を持った人材を育成したいと思います。毎日楽しみながら、こつこつと努力し、粘り強く研究に取り組みましょう。失敗でも成功でも、取得した生の実験データを見ながら議論することに重きをおきます。データの解析や考察、次の実験についての提案など、新しいアイデアを出し合うことを日頃から繰り返していきながら、論理的な思考方法を身につけましょう。また、3ヶ月に1度程度は研究室のゼミで詳細な研究経過を口頭で発表する機会があります。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/nmcenter/labs/s-ohki-www/contents/Ohki_Lab.html
有機半導体の基礎研究と光エレクトロニクスへの応用


有機半導体の基礎研究と光エレクトロニクスへの応用
有機オプトエレクトロニクス研究室
Laboratory on Organic Optoelectronics
教授:村田 英幸(MURATA Hideyuki)
E-mail:
[研究分野]
有機EL・可視光無線通信・導電性材料
[キーワード]
有機EL素子の劣化機構解明、可視光無線通信用光アンテナ、導電性ペースト用フィラー
研究を始めるのに必要な知識・能力
出身学部が化学系の場合、有機化学や物理化学、物理系なら量子力学や固体物理学のいずれかの基礎知識が研究内容を理解するために必要です。専門知識は研究室に入ってから修得します。従って、学ぶ努力を継続する熱意と実行力が最も重要です。高校レベルの英語力は必要です。
この研究で身につく能力
研究室での研究活動を通じて自己研鑽を積み、自分で考えて自律的に行動できる研究者を育成することを目標としています。研究者として普遍的に重要な3つの能力が身につきます。
(1)研究を実践するために必要な専門知識を独習する能力
(2)設定した目標を達成するための計画立案能力
(3)研究成果の“価値”を伝えるためのコミュニケーション能力。
また、研究室の留学生との交流や国際共同研究、海外での学会発表などを通じて、国際的なセンスを磨く機会も多くあります。担当する研究テーマや努力の程度によって身につく専門知識は異なりますが、次の専門知識が得られます。
・光化学(励起状態のダイナミクス)、固体物性論(電荷注入と移動)、デバイス物理(有機デバイスの動作機構)
【就職先企業・職種】 総合電機メーカー、電機・電子機器・精密機器メーカー、印刷業、素材産業(化学、非鉄金属)
研究内容
村田研究室では、有機半導体に関する基礎研究の成果を、有機発光ダイオード(OLED)や可視光無線通信用の光アンテナなど、実用的なデバイス開発につなげることを行っています。民間企業との共同研究では、OLEDの精密な評価装置や有機半導体材料の真空昇華精製装置を開発しています。金沢市との共同研究では、金沢金箔を原料とした導電性ペースト用フィラー材料の開発を行っています。これら有機半導体デバイスの基礎研究を通じた社会貢献が目標です。
有機ELの劣化機構解析
有機ELディスプレイは高画質、低電力、薄型軽量、フレキシブルを特長とし、すでにテレビや携帯電話などで実用化されています。有機EL分野では、青色発光材料の耐久性向上が課題となっています。素子の長寿命化は、村田研究室の得意とするところであり、青色発光材料の劣化メカニズムを解明するとともに、高耐久性の青色発光有機EL材料を探索しています。また、精密な電子デバイスの作製から緻密な評価まで、一貫して研究を進める体制を整えており、これも私たちの強みとなっています。変位電流測定と電流ー電圧ー発光輝度特性を連続して高精度に測定できる新しい評価装置の開発にも成功しました。
金沢金箔を原料とする導電性ペースト用金属微粒子の開発
本研究では、金箔の新しい用途開拓を目指して、金箔を原料とする微粒子(金消粉)の導電性フィラーとしての応用を検討しています。これまでに、金消粉が導電性フィラーとして優れた材料であることを見出しました。そこで最近では、導電性フィラーの低コスト化に取り組んでいます。
可視光無線通信用の光アンテナの開発
可視光を使った無線通信は、近距離通信での活用が注目されています。我々は蛍光色素の特徴を生かした光無線通信用光アンテナの開発に挑戦しています。フェルスター型エネルギー移動(FRET)を光アンテナの発光材料に用いることで従来の光アンテナよりもはるかに高い利得と広い伝送帯域幅を実現し、より高速なデータ転送を実現しました。
主な研究業績
- C. He, S. Collins, H. Murata, Fluorescent antenna based on Förster resonance energy transfer (FRET) for optical wireless communications, Optics Express, 32, 17152 (2024).
- D. C. Le, D. D. Nguyen, S. Lloyd, T. Suzuki, H. Murata, Degradation of fluorescent organic light emitting diodes caused by quenching of singlet and triplet excitons, Journal of Materials Chemistry C, 8, 14873 (2020).
- V. Vohra, K. Kawashima, T. Kakara, T. Koganezawa, I. Osaka, K. Takimiya, H. Murata, Efficient inverted polymer solar cells employing favourable molecular orientation, Nature Photonics, 9, 403 (2015).
使用装置
真空蒸着装置(高真空対応2台、超高真空対応1台)
デバイス作製用グローブボックス
半導体評価システム
有機デバイス評価システム
逆光電子分光装置
研究室の指導方針
4年生までの学部教育が専門知識修得のための基礎を習得する場であるのに対して、大学院はさらに高度な知識を修得しながら、それを駆使して“研究を実践する場”であると考えています。研究がうまくいかず壁に突き当たったとしても、正面から向き合い試行錯誤して、困難を乗り越える経験をすることが最も重要です。最近は困難を回避しようとする人が多いように感じます。成功体験は今の自分に自信を与えますが、失敗の克服は新しい自分への飛躍をもたらします。一緒に困難を乗り越える体験をしてみませんか。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/ms/labs/murata/index.html
分子技術を核酸医薬・光ゲノム操作へ~DNA/RNAを光で操る~


分子技術を核酸医薬・光ゲノム操作へ
~DNA/RNAを光で操る~
DNA/RNA工学 研究室 Laboratory on DNA/RNA Engineering
教授:藤本 健造(FUJIMOTO Kenzo)
E-mail:
[研究分野]
核酸化学、有機合成化学、ケミカルバイオロジー、生物有機化学、遺伝子工学
[キーワード]
核酸医薬、光DNA/RNA操作、光ゲノム編集、有機合成、遺伝子治療、遺伝子診断、分子ロボティクス
研究を始めるのに必要な知識・能力
本研究室では「科学の基本原理を理解したうえで、合理的かつ緻密にデザインされた自身オリジナルの分子を創成・合成することで今までにない物性や能力を有する物質を創成する」ことを基本にしています。挑戦しようという意欲を求めています。異分野からの挑戦を歓迎します。
この研究で身につく能力
本研究室では日頃の雑誌会・研究会・実験・研究発表・研究室独自の取り組み(下記)などを通して自然現象・生命現象を科学の言葉で理解する力、自分自身で解釈し、新しいものを生み出す感性や俯瞰力、また最終的には自分を「活かし」ひいては社会に必要とされる人間力を身につけてもらいたいと思っています。
(取り組み事例)
◦最前線で活躍中の先生による研究室セミナー
◦東京・大阪方面で開催されている技術スクールへ参加支援
◦学会(国内、国外)への出席支援
◦海外雑誌への論文投稿の支援
◦ベンチャーラボラトリー等への積極的参画
◦共同研究先企業との合同セミナー・交流
【就職先企業・職種】 大学教員、化学系企業、製薬系企業、機械系企業、電機系企業、研究所研究員、医療機器系企業、食品
研究内容
(藤本研究室で行っている研究概要)
現代の遺伝子工学は酵素を用いた遺伝子操作に基づくものですが、生体内細胞中での操作、マイクロマシン上での操作には酵素のみでは限界があるとされています。藤本研究室では、即時に精密分子設計した光応答性の人工核酸を用いることにより、酵素ではなく光を用いてDNA あるいはRNA を操作する光遺伝子操作法を創出しています。さらには、分子生物学や情報科学、細胞生物学、データ科学などの学際領域のみならず遺伝子解析などの産業応用も含めた実用的新方法論(以下参照)へと展開しています。
1.超高速光DNA・RNA操作法の開発
(光応答性人工核酸の分子設計・合成とその応用研究)
光反応性を有するビニル基を埋め込んだ人工塩基をDNA 中に組み込ませた光操作用の人工DNAプローブを開発しています。この光応答性人工塩基を組み込んプローブ DNA をDNA チップ上で用いることで、従来の100倍以上正確に遺伝子解析が可能となります。特に藤本研究室で開発したシアノビニルカルバゾール(cnvK) は秒単位で核酸類を光架橋できることから国内外で市販されています。最近では、世界最速の核酸光架橋剤として認知されいます。このcnvK を含む光架橋により超高速プラスミド操作や任意の位置のシトシンをウラシルに変換できることを実証しています。遺伝子修復等の医学応用や産業面では DNA チップ上での超高速遺伝子解析への応用が期待されています。
2.核酸医薬(光による遺伝子発現制御)
核酸医薬は遺伝子を直接標的とする最新の医薬です。我々は光応答性人工核酸を組み込んだアンチセンス核酸を用いることにより、高い発現抑制効果を示すことを報告しています。また、光照射の場所・タイミングや照射エネルギーにより発現量を時空間的に制御することにも成功しており、抗ガン剤としての応用も期待されています。また、学術論文の表紙に採用されるなど、高く評価されています。
3.光ゲノム編集(遺伝子疾患治療に向けた核酸光編集)
核酸編集法は遺伝子疾患に対する有用な治療法とされており、CRISPR/Cas システムやADAR などが報告されています。藤本研究室では核酸光編集法(Photochemical RNA editing) を報告しており、光架橋・脱アミノ化反応・光開裂の一連の操作により配列選択的に標的のシトシンをウラシルへと変換できます。酵素を用いない新たな編集法として注目されています。従来のゲノム編集を凌駕する高い配列選択性を有した新たな光ゲノム編集法の開発をおこない、遺伝子疾患の治療等に貢献したいと考えています。
主な研究業績
- J. Mihara and K. Fujimoto, Photo-cross-linking of DNA using 4-methylpyranocarbazole nucleoside with thymine-base selectivity, Organic & Biomolecular Chemistry, 45, 9860-9866 (2021)
- T. Sakamoto, Z. Qiu, M. Inagaki. K, Fujimoto, Simultaneous amino acid analysis based on 19F NMR using modified OPA-derivatization method, Anal. Chem., 92, 1669-1673 (2020)
- K. Fujimoto, H. Yang, S. Nakamura, Strong inhibitory effects of anti-sense probes on gene expression through ultrafast RNA photo-cross-linking, Chem. Asian. J., 14, 1912-1916 (2019)
使用装置
DNA/RNA自動合成機
共焦点レーザー顕微鏡
UPLC-HPLC
マイクロプレートリーダー
蛍光分光光度計
研究室の指導方針
私たちの研究の根本はDNAに関連した精密分子設計とこれに基づく合理的な精密有機合成の技術にあります。学生一人一人がそれぞれオリジナルの研究テーマに取り組む中で、基礎的な合成技術、解析技術ならびに科学的に物事を捉える視点を養います。その上で化学系企業、医療機器メーカー、医薬品関連企業との共同研究を体験し、研究者の社会貢献のあり方について肌で感じてもらいます。その他、研究室独自のプログラム(研究室セミナー、合同セミナー、技術スクールなど)も活用してもらうことで自立した研究者育成を目指します。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/ms/labs/fujimoto/fujimotohp/
ポリマー1分子の直視熱ゆらぎで駆動する分子マシンの創製


ポリマー1分子の直視
熱ゆらぎで駆動する分子マシンの創製
ナノ高分子化学研究室 Laboratory on Nano-Polymer Chemistry
准教授:篠原 健一(SHINOHARA Ken-ichi)
E-mail:
[研究分野]
高分子化学、分子マシン
[キーワード]
機能性高分子合成、1分子イメージング、人工生命機能、高速AFM
研究を始めるのに必要な知識・能力
機能性高分子の合成研究を希望する学生は、有機化学と高分子化学の基礎的な知識が必要です。また、高分子鎖一本の構造を解析する1分子イメージング研究を希望する学生は、顕微鏡装置のしくみを理解し使いこなす必要がありますので、物理学的なものの考え方が求められます。
この研究で身につく能力
【高分子合成】新しい機能性高分子を合成しますので、有機合成化学的手法や高分子機能設計についての研究能力が鍛えられます。【1分子イメージング】有機溶媒中の高分子鎖一本の構造ダイナミクスを高速AFMイメージングし動態を解析しますので、装置原理や当該解析法のしくみ、また一連の考察をとおして高分子の本質についての理解が深化します。【シミュレーション】スーパーコンピューターを活用して分子動力学(MD)計算による高分子鎖一本のダイナミクスをシミュレーションし、高速AFMイメージングの結果を理解してモデルを構築しますので、コンピューターシミュレーションの基礎と応用が身につきます。【分子マシン創製】多様な高分子鎖の運動機能を探索し分子マシンの創製へ展開しますので、現象の本質を見抜く洞察力、創造力が鍛えられます。
【就職先企業・職種】 化学系企業、半導体関連企業、食品関連企業、化粧品会社、公務員(教員)など
研究内容

Fig. Single Molecular Unidirectional Processive Movement along a Helical Polymer Chain in a Non-aqueous Media
篠原研究室では、ポリマー1分子を研究対象とした基礎研究を進めています。最近の研究で、分子レベルではポリマーにも生物のようなしなやかな動きがあることが実証されました。一方、生物物理学では生体高分子であるタンパク質の機能発現の機構や動作原理が明らかになりつつあります。この概念を合成高分子の設計に適用すれば、刺激や負荷などの環境変化に柔軟に対応して特性を自在に制御できるしなやかな合成高分子~分子マシン~を開発できると考えています。また同時に、1分子イメージング技術の特許化(国際出願)そして共同研究を通じて企業への技術移転を進めています。
【ポリマー1分子の直視】
ポリマーは、非常に優れた特性を持つ有用な物質であり文明を維持するために無くてはならない材料です。しかしながら、ポリマーは一般にその構造が多様で非常に複雑であるために、構造と機能の相関関係を分子レベルで議論することが難しいのです。すなわち、「ポリマーのどの様な構造が、如何なる機能を発揮しているのか?」という本質的な問いに対して、多数分子の平均値を議論する従来の研究手法を踏襲する以上、明確に分子レベルで答えることは難しいという問題があります。これが原因となり、より優れた機能を有する高分子を合成しようとする際に、どの様な分子設計を行えば良いのかが不明確である、という障壁が機能性高分子の構造設計において立ちはだかっています。そこで、高分子鎖一本の構造と機能の実時間・実空間同時観測系が確立されれば、推論や仮定なしに、明確に分子構造と機能との関係を直接議論できるのではないかと考えました。
ポリマー1分子の直接観測で世界に先駆けた研究に挑戦し続けています。例えば、合成高分子鎖一本のらせん構造が形成する高次構造の解明を世界で初めて走査トンネル顕微鏡観測で達成し、米国サイエンス誌の依頼を受け成果の一部が掲載された等の成果を挙げています。また液中でゆらぐπ共役ポリマーの1分子蛍光イメージングと1分子分光に成功しています。さらに高速AFMによるらせん高分子鎖一本の運動を直接観測して、これがブラウン運動であることを解析で証明しました。また超分子ポリマーの研究では、国際学術誌の表紙を飾っています。
【分子マシンの開発】
生体を構成しているタンパク質などの生体高分子にはさまざまな機能があることがわかっていますが、取り出すと高次構造が崩れ機能が失われてしまうため、材料として利用することが難しいという問題がありました。その点、合成高分子は耐久性があり、材料には適しています。もし、しなやかな高次構造を形成し、さまざまな機能をもつ合成高分子を作ることができれば、現在の機械のしくみを根底からくつがえす、画期的な材料を作れると期待しています。篠原研究室では、モータータンパク質など生体分子マシンの構造や機能に学び、これを超える新しい機能を持った合成高分子による分子マシンの実現を目指しています。
主な研究業績
- K. Shinohara, S. Yasuda, G. Kato, M. Fujita, H. Shigekawa: Direct observation of the chiral quaternary structure in a π-conjugated polymer at room temperature, J. Am. Chem. Soc. 123, 3619-3620 (2001); Editors’ Choice, Science 292, 15 (2001).
- K. Shinohara, Y. Makida, T. Oohashi, and R. Hori: Single-Molecule Unidirectional Processive Movement along a Helical Polymer Chain in Non-aqueous Medium, Langmuir, 38 (40), 12173-12178 (2022).
- K. Cheng, K. Shinohara, O. Notoya, M. Teraguchi, T. Kaneko, T. Aoki Synthesis and Direct Observation of Molecules of 2D Polymers: With High Molecular Weights, Large Areas, Small Micropores, Solubility, Membrane Forming Ability, and High Oxygen Permselectivity, Small, 202308050 (2023).
使用装置
高速原子間力顕微鏡(高速AFM)
単一分子蛍光・分光顕微鏡(TIRFM)
高分子鎖構造/蛍光同時観測装置(AFM/TIRFM複合)
スーパーコンピューター(分子動力学計算)
各種機器分析装置(NMR, IR, UV/Vis.等)
研究室の指導方針
研究テーマを学生が教員から与えられたものとして受動的に研究するのではなく、一日も早く自らのものとして研究テーマを捉えることができるよう指導します。具体的には、学生とのコミュニケーションを積極的にとり、学生の能力に応じて可能な限り意思を尊重して自主的に実験を遂行させ、自ら問題を見つけてこれを解決する能力を養わせる方針です。これら一連の過程を繰り返すことにより、研究とは如何なるものなのか等の基本的かつ重要な問の答えが各々学生なりに得られ、ひいては将来の優れた研究者・技術者としての自覚につながるものと期待しています。
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/ms/labs/shinohara/
半導体ナノワイヤを舞台としたスピントロニクス研究


半導体ナノワイヤを舞台とした
スピントロニクス研究
ナノワイヤ X スピンデバイス研究室
Laboratory on Nanowires X Spin Devices
准教授:赤堀 誠志(AKABORI Masashi)
E-mail:
[研究分野]
半導体エピタキシャル成長、半導体ナノ構造、半導体スピントロニクス
[キーワード]
化合物半導体、強磁性体、微細加工、エレクトロニクス、スピントロニクス、半導体物性、低温物性
研究を始めるのに必要な知識・能力
本研究室で研究を始めるにあたって大事なのは、リアルに「もの」を扱うのが好きであることだと考えています。また、物理学(特に電磁気学、量子力学)の知識はあった方がよく、この他に半導体・固体物理、化学、プログラミングの知識があると研究を進める上で役に立つと考えています。
この研究で身につく能力
本研究室の研究では様々な装置を使います。それらの正しい使用法は論理的思考に基づいて考えられています。したがって、それらを理解し、自ら実践することにより、論理的な思考力が養われると考えています。また、実験的研究にはトラブルがつきもので、想定通りには結果が得られず、上手く進まないことも多々あります。ですが、トラブルの状況や得られている結果に関して、周りと協力しながら分析・考察し、研究が上手く進むように努力することにより、解決すべき課題を発見する力、そして発見した課題を解決する力が養われると考えています。
【就職先企業・職種】 電機・精密機械、IT・通信、素材
研究内容

図1.スピン電界効果トランジスタ

図2.トップダウン手法によるナノワイヤ、
ポイントコンタクト

図3.ボトムアップ手法によるナノワイヤ

図4.電気化学プロセスによるコアシェルナノワイヤ

図5.MnAs/InAs 複合構造

図6.非局所測定
従来のエレクトロニクスでは、チャージ(電荷)の制御により情報処理が行われてきました。これに対してスピントロニクスは、チャージだけでなくスピン(磁性)を制御することにより情報処理を行っていくものです。国際デバイスおよびシステムロードマップにおいても、スピントロニクス素子は重要な次世代デバイスの一つとして位置付けられています。半導体を用いる代表的なスピントロニクス素子は、InAs・InGaAs・InSb・InGaSbなど大きなスピン軌道結合を有する半導体と強磁性体との複合構造からなるスピン電界効果トランジスタです(図1)。この素子においては、半導体ナノワイヤを採用することにより、スピン軌道結合と弾性散乱によるスピン緩和が抑制されると期待されています。そこで本研究室では、以下に示すような、半導体ナノワイヤ構造および半導体- 強磁性体複合構造に関する実験的研究を行っています。
①半導体ナノワイヤ構造の作製
電子ビーム露光とエッチング加工を組み合わせたトップダウン手法(図2)と、分子線エピタキシャル成長を用いたボトムアップ手法(図3)に関する研究を進めています。トップダウン手法では高品質な半導体ヘテロ接合を用いることが可能ですが、コヒーレントな伝導のためにはエッジ形状の最適化や加工ダメージの抑制などの課題があります。ボトムアップ手法では半導体ヘテロ構造の利用は困難ですが、成長条件の最適化によりトップダウン手法では困難な良好な形状・微小な寸法を実現できる可能性があります。
②半導体- 強磁性体複合構造の作製
電気化学プロセスによる半導体(ZnO)/ 強磁性体(Co、Ni)コアシェルナノワイヤの形成(図4)や、分子線エピタキシャル成長による半導体(InAs) / 強磁性体(MnAs) 複合構造の形成(図5)に関する研究も行っています。これらの方法では連続的に半導体/ 強磁性体界面を形成するため、強磁性体から半導体へのスピン注入効率向上が期待されます。
③作製した構造の電気的評価・解析
超伝導マグネット付クライオスタットなどを用いて、低温・強磁場環境下での電気的評価・解析を進めています。面内磁場中での非局所配置における抵抗測定(図6)などにより、スピン注入・輸送・検出に関する知見を獲得することが可能です。これら知見を基に、未踏のスピン電界効果トランジスタの実現を目指します。
主な研究業績
- S. Komatsu, M. Akabori: “Spin-filter device using Zeeman effect with realistic channel and structure parameters” Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 63, pp. 02SP14-1-5 (2024).
- Md. T. Islam, Md. F. Kabir, M. Akabori: “Low-temperature grown MnAs/InAs/MnAs double heterostructure on GaAs (111)B by molecular beam epitaxy” Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 63, pp. 01SP40-1-5 (2024).
- K. Teramoto, R. Horiguchi, W. Dai, Y. Adachi, M. Akabori, S. Hara: “Tailoring Magnetic Domains and Magnetization Switching in CoFe Nanolayer Patterns with Their Thickness and Aspect Ratio on GaAs (001) Substrate” Physica Status Solidi B, Vol. 259, pp. 2100519-1-9 (2022).
- D. Q. Tran, Md. E. Islam, K. Higashimine, M. Akabori: “Self-catalyst growth and characterization of wurtzite GaAs/InAs core/shell nanowires” J. Crystal Growth, Vol. 564, pp. 126126-1-7 (2021).
使用装置
成膜装置(分子線エピタキシャル成長装置、原子層堆積装置、真空蒸着装置、スパッタ装置)
微細加工装置(電子ビーム露光装置、電界電離ガスイオンビーム装置、反応性イオンエッチング装置)
電気化学プロセス装置
電気計測装置(デバイスアナライザ、ホール効果測定装置、ロックイン計測システム)
極低温・強磁場装置(超伝導マグネット付He4クライオスタット、He3クライオスタット、希釈冷凍機)
研究室の指導方針
本研究室では、様々な装置を使って、半導体や強磁性体など「もの」をつくるところから、主に電気的評価・解析によりつくった「もの」を調べるところまで一貫して実験的研究を行います。まずテーマの近い学生でチームをつくり、毎日チームミーティングをしてもらうとともに、週一でスタッフを交えた全体ミーティングを行って、コミュニケーション力・プレゼンテーション力・判断力の育成・向上を図ります。また、全体ミーティングと同じ日に勉強会も行い、半導体・固体物理分野の知識習得や基礎学力の向上を図ります。
[研究室HP] URL:https://www.jaist-akabori-lab.com/
エネルギー変換の最先端 ―未利用廃熱の高効率回収―


エネルギー変換の最先端 ―未利用廃熱の高効率回収―
R7年10月以降に入学する学生の受け入れは行いません
小矢野研究室 KOYANO Laboratory
教授:小矢野 幹夫(KOYANO Mikio)
E-mail:
[研究分野]
固体物性、熱電変換
[キーワード]
物理・実験系、低次元伝導体、熱電変換の物理、熱電材料、エネルギーの有効利用、エネルギーハーベスティング
研究を始めるのに必要な知識・能力
物理の実験系の研究室ですが、出身分野にはこだわりません。今までにも物理系、電子・電気系、機械系、化学系の学生が本研究室に来て活躍しています。JAISTに入学してから、応用物性数学、量子力学、固体物理学など自然科学系の講義を受講してもらうことをお願いしています。
この研究で身につく能力
物理系のみならず多様な分野から来た学生が、総合的な科学技術としての熱電変換の研究を行うことにより、修了後に企業や研究機関で社会に貢献することを目指しています。私たちの研究室で身につけられる能力は、具体的には以下のとおりです。
- 実際に手を動かしてものを作る面白さを知ること。
- 先端的な実験機器を用いた物理研究と実験手法の習得。
- 物理的または科学的な考え方の習得、ものごとを定量的に捉える力の獲得。
- プレゼンテーション能力、科学的な論文(主として日本語)の作成の方法。
【就職先企業・職種】 製造業ほか
研究内容

テトラヘドライト

硫化物熱電材料

ポストグラフェン材料
ゼーベック効果やペルチェ効果などを利用した『熱電変換技術』を使うと、熱エネルギーと電気エネルギーの相互変換が出来るため、廃熱から直接発電を行う『熱電発電』が可能となります。私たちの研究室では、【はかる】【つくる】【さがす】という3本の柱で熱電変換に関する研究を行っています。
【はかる】微小スケールの熱電性能の測定
「はかる」とは熱電材料の特性をはかるための評価手法の開発という意味です。近年、微細な構造を持った新規熱電素子が開発されていますが、システム自体が小さく測定が難しいため、新しい評価手法の開発が望まれています。
私たちの研究室では、3ω法(スリーオメガ法)と呼ばれる熱伝導率測定法を改良して、Bi-Te 系熱電ナノ粒子凝集体の熱伝導率を測定することに成功しました。さらにこの3ω法を改良することにより、遷移金属トリカルコゲナイドナノワイヤーの熱伝導率測定にもチャレンジしています。またポイントコンタクト型局所熱電性能測定法も開発しており、将来的にはグラフェンやポストグラフェンなど先端材料のフォノン物性を解明することを目指しています。
【つくる】インクジェット技術を用いた新規熱電モジュールの開発
実際に熱電発電を行うためには、Bi-Te 系熱電素子を多数配列させた熱電モジュールを作製しなければなりません。われわれは、LCD 用カラーフィルターの製造に利用されているインクジェット技術を熱電モジュール作製に応用するという、新たな製造プロセスの開発を行いました。
インクジェット印刷を用いることにより、従来作製が難しかった微小サイズモジュールや、ポリイミドをはじめとするフレキシブルな基板を用いたモジュールの試作に成功しました。今後は、焼成後の素子の密度と粒子配向性の向上といった課題を解決し、既存の分野およびエネルギーハーベスティングなど新しい分野への応用展開を図ることを予定しています。
【さがす】新しい熱電変換材料の創製
現在実用化されている熱電材料(Bi-Te 系材料)は、構成元素のTe が希少・高価であるという問題を抱えています。この問題を解決するため、私たちはTe の代替元素として硫黄(S)を用いた化合物、すなわち新しい硫化物熱電材料の開発を行っています。
最近、私たちはテトラヘドライトと呼ばれる熱電鉱物Cu12Sb4S13が、実用化されている材料と比べても遜色ない性能を示すことを発見しました。この材料は母体のままでも良好な熱電性能を示しますが、さらに、Cu サイトをNi で置換することにより熱電性能を約1.4倍向上させることに成功しました。
これ以外にも、多様な硫化物の低次元伝導体や、熱電材料と磁性体のハイブリッド材料の合成・開発を行い、その基礎物性や熱電性能を調査しています。
主な研究業績
- Development of thermal conductivity measurement system using the 3ω method and application to thermoelectric particles, S. Nishino, K. Suekuni, K. Ohdaira, and M. Koyano, Journal of Electronic Materials (2014), DOI: 10.1007/s11664-014-2993-9.
- High-performance thermoelectric mineral Cu12-xNixSb4S13 tetrahedrite, K. Suekuni, K. Tsuruta, M. Kunii, H. Nishiate, E. Nishibori, S. Maki, M. Ohta, A. Yamamoto, and M. Koyano, Journal of Applied Physics 113, 043712 (2013)
- 廃熱も電気に変える熱電発電,小矢野幹夫,Ohm Bulletin, 2014年 VOL.49 冬号(通巻200号)pp. 02.
使用装置
物理特性測定装置 PPMS(熱電性能、電気伝導の測定)
ラマン散乱分光装置(固体中の素励起のエネルギー分析)
管状電気炉・マッフル炉(無機材料の合成)
ホットプレス装置(粉体試料の加圧焼結・配向制御)
研究室の指導方針
『多様な物性に多様な価値観で挑む』をモットーに、今まで誰も知らなかった新しい現象を発見したり、新規材料を創製することを目指しています。小矢野研は『エネルギーに興味がある人』『無機材料を自分で作ってみたい人』『科学や物理が好きな人』 を歓迎します!
[研究室HP] URL:https://txj.mg-nb.com/ms/labs/kotai/koyano/index.html