生体膜の電圧を可視化するための分子ツール
Mini-Lecで述べたように、細胞における電気信号(活動電位)の生成には、イオン分布を平衡から大きく逸脱した状態に保つ働きをする分子(Na⁺-K⁺ ATPase など)とともに、電圧依存的に構造変化して特定のイオンを高い選択性で透過させるような分子(例えば、voltage-gated Na⁺ channelなど)が中心的な役割を果たしていました。こうした分子は、膜電位の変化を感知して構造変化を引き起こし、イオン透過部などの機能を制御する電位センサードメインを含んでいます。このモジュールを部品として使うことで、電圧信号を光の信号として可視化するセンサー分子を創ることが出来ます。また、ロドプシンなどの電位センサードメインとは異なる分子をベースにして、分子ツールを作る研究も世界で進んでいます。どちらもまだまだセンサーの性能向上が必要と考えられています。いろいろなアイディアを持ち寄り、センサーのさらなる高速・高感度化を目指したいと考えています。また、細胞に備わるそうした分子が、そもそもどのような仕組みで電圧信号を感知しているのか?といった基礎的な問題にも興味を持って研究を進めています。